long dream@
□蔵馬=南野秀一?
2ページ/6ページ
「あんた人間と同居してるんだってなァ。オレには信じられないが、やはり周りの人間を大事にするクチかい?」
喋り方、表情…。
全てが呂屠を下衆な妖怪であると語っている。
「そうだろうねェ…優勝商品の女を守ろうとしてるくらいだからねェ…」
未来を横目で見ながらニヤニヤする呂屠。
蔵馬は黙ったままだ。
「死んだら悲しむだろうねェェェ」
呂屠の右手が変形して鎌になった。
「カマイタチか…」
蔵馬は右手を振り回す呂屠の攻撃を軽々避けていく。
「話にならん、完全に蔵馬が見切っている。桑原も運が悪かったな、あいつが戦った鈴駒はどうやら奴等のNo.2だ」
浦飯ィ〜起きろ〜、と遠くで幽助の体を揺らす桑原を見ながら言った飛影。
「さすが蔵馬だね〜。てかあんな小さいのにNo.2の鈴駒って何者…」
「未来、やっとオイラの強さがわかった!?」
大声で叫ぶ鈴駒に、未来は苦笑いするしかない。
「たいした使い手でもなさそうだ。今楽にしてやるよ」
呂屠の後ろにまわり、倒そうとした蔵馬。
「あんたの母親の命はあずかってるぜ。南野秀一くん」
「!?」
呂屠の言葉を耳にした蔵馬の動きは鈍った。
鎌によって、蔵馬の頬には一筋の傷ができる。
「あずかった…!?」
蔵馬以外で呂屠の声が聞こえたのは未来と飛影、鈴駒だけだろう。おそらく覆面もだ。
観客、そして審判の小兎でさえ何が起こっているか気づいていない。
「くくくく見えるか?このスイッチを押せばオレの使い魔が、あんたの母親を喰い殺すよう尾行している」
呂屠の左手にはスイッチのついたグリップが握られている。
「この意味が分かるかね、優しい優しい秀一くん」
蔵馬は戦闘の意志がないのを示すように、腕を下ろして棒立ちになった。
「それでいいんだよ、母親思いの秀一くんよォォ」
バキッ
呂屠が抵抗しない蔵馬を殴る。
「ちぇっ呂屠のヤツ、汚ねえ手使いやがる」
呂屠と同じチームの鈴駒も、不快感をあらわにした。
「蔵馬のお母さんを人質にとるなんて…最低…」
未来の声は、怒りと動揺で震えている。
バシッ
蔵馬が投げた小石が、呂屠の頬をかすった。
「小石を投げつけることで、ささやかな反抗を示したつもりか?これからはわずかな抵抗も許さねーぜ。手を後ろに組みな!」
蔵馬は大人しく呂屠の命令に従う。