long dream@


□死を呼ぶ島へ
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「待たせたな…」


そう言って現れたのは幽助。

隣には未来と覆面をした謎の人物が立っている。


「浦飯!未来ちゃん!…となんだァその覆面の奴は!ほんとに待ったぜ、おせーぞ!」


桑原が口をとがらせる。




ついにこの日が来た。

明日開催される暗黒武術会のため、未来たちは会場がある島へ出航する船に乗ろうとしていた。



「おい、あいつが浦飯らしいぜ」

「朱雀や乱童を倒したあの有名な…」

「隣の女は異世界から来た“ナガセミライ”か」

「絶対優勝してオレがあの女を手に入れてやる」


ザワザワと騒ぎだした周りの妖怪たち。


未来は“商品”として奇異な目で見られ、気分が悪かった。


妖怪たちのセリフから察するに、どうやら未来の顔は知られていなかったらしい。

未来が武術会までの2ヶ月間何事もなく無事に過ごせたのは、そのせいもあるだろう。

未来の異質な気が薄れていたおかげでもある。


「幽助」


名を呼ぶといきなり幽助に斬りかかった飛影。


ヒュッ ヒュッ…
辺りには飛影の刀を斬る音だけが聴こえる。


「まったく見えない」


「オレは目で追っかけるのがやっとだ…」


二人の素早さに、未来と桑原は圧倒された。


「少しはできるようになったようだな」


気がすんだ飛影は、刀をおさめる。


「少しだとォ!?あれで!?ぶっちぎりで強くなっちまってるじゃねーかよ」


「大丈夫。今の動きが見えているなら君も充分成長している」


「そうだよ!あんなに修行したんだから」


冷や汗だらだらの桑原を、蔵馬と未来が諭した。


「ところでまさかあのチビが5人目のメンバーなのか」


ありえない、と覆面に目を向ける飛影。


「最強の助っ人だよ!安心して」


キミもちびっ子ですよ、とつっこみたくなる衝動を抑えながら未来が言った。


未来は覆面の正体が幻海だと知っていたが、誰にも言うなと口止めされていた。


「桑原、蔵馬、飛影。今までもそうだったが、これからは絶対に未来を一人で行動させるな。未来を狙ってる妖怪がうようよしてやがる所に行くからな」


幽助がそう言っている間にも、妖怪たちの未来を物欲しそうに見る視線は止まらない。


未来を危険な場所へ連れて行くのは気がひけたが、幻海邸に一人で残しておくよりはよっぽど安全だ。


彼女は自分達が守りぬこうと幽助は幻海と話し決めたのだった。


「そんなのわざわざオメーに言われなくてもわかってらあ!」


「そのつもりで来てますよ」


当然だと口をそろえる桑原と蔵馬。


飛影は何も言わなかったが、彼だって十分承知していた。


「みんな、ありがとう」


「おいおい水くせーぞ未来!」


深々と頭を下げた未来の背中をバンッと幽助が叩く。


(背中こわれる…)


幽助にとってはかなり手加減したつもりだったが、垂金に撃たれた時並の痛みを必死にこらえる未来であった。


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