long dream@
□侵入者たち
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「ううっ…」
雪菜の目から、大粒の氷泪石がいくつもこぼれ落ちる。
「これで逃げられんじゃろ」
引き金をひいた手を下ろした垂金。
右足を撃たれた未来は、その場に崩れ落ちた。
(いっ痛っ…)
未来の足から血が流れだす。
「雪菜、お前を助けようとした者は全員不幸になるようだな。あの裏切り者も、侵入者4人も。浦飯と桑原は戸愚呂に殺され、誰か知らんが一人はヘレンちゃんに喰われ、未来は売られる」
「ごめんなさい…皆、ごめんなさい…」
自分を責める雪菜に、未来の心は痛む。
悪いのはすべて垂金だ。
彼女のせいではない。
しかし人並みの力しかなくどうすることも出来ない未来は、垂金への苛立ちと悔しさに唇を噛んだ。
「よし、ついでに左足も使えなくしてやる」
再び未来に銃口を向けた垂金。
「やめてっ」
これ以上自分のせいで人が傷つく姿は見たくない…雪菜は腕を取り押さえられてはいたものの、動かせる足で垂金を蹴った。
少しよろめいた垂金はギロ、と雪菜を睨みつける。
「雪菜、お前は今何をしたか分かっておるのか?もういい!未来さえおればお前は用無しじゃ!!」
頭に血が上り、衝動的に未来ではなく雪菜に銃口を向けた垂金。
「だめーー!!」
未来は痛む足を奮い立たせ、雪菜に勢いよく覆い被さった。
雪菜を捕らえていた男二人は、未来の重みで雪菜が倒れたため彼女から手を離してしまう。
理由は分からないが、垂金は自分を殺す気はないらしい。
そう知った未来は、雪菜を守るように倒れこんで彼女を抱きしめる。