long dream@


□地獄の部屋
1ページ/4ページ


「オレの部屋に招待するって…白虎の部屋ってどんなのだろ?意外にもピンク系の家具で埋めつくされてたら笑えるよね」


その中にいる白虎を想像して吹き出す未来。


「地獄の部屋っつーんだからそれはねーだろ。あのデカネコ、招待すんなら茶と菓子ぐれー出すつもりなんだろうな」


「…バカどもが」


未来と幽助を見て飛影が呟く。


「ここか!」


たどり着いた白虎の部屋は、まさに“地獄”だった。


ぐつぐつ煮えたぎる赤い液体の湖の中に、点々と設けられた円形の足場。少しでも足を踏み外せば落ちてしまいそうだ。


「こんな部屋じゃ全然くつろげないでしょ。こんなのが自室なんて、なんか白虎がかわいそうだよ…」


地獄の部屋に衝撃を受けすぎて思考回路がおかしくなった未来。


「げ…こりゃマジで地獄の釜だぜ」


「落ちたらひとたまりもねえな…」


衝撃を受けたのは幽助や桑原も同じだったようだ。


「ここがオレ様の遊戯室だ。いい眺めだろう?下は見ての通り落ちれば骨になるまで溶かされる濃獄酸の風呂だ。さあ度胸のある奴から降りて戦えい!」


足場のひとつに乗った白虎が呼び掛ける。


「ヤロー死にぞこないがふざけた部屋に案内しやがって。オレがとどめさしてやんぜ!」


「だ、だめだよ!」


降りようとした幽助の腕を、未来は掴んだ。


「そうだぜ浦飯!ヤツの相手はオレだろーが」


「桑ちゃんだってダメだってば!」


もう片方の手で未来は桑原の腕も掴む。


「しょうがないな…じゃあオレが行こう」


「くくく蔵馬もダメ!」


もう両手がふさがっているため、一生懸命叫んだ未来。


蔵馬はくすりと笑うと、


「貴方は行かないんですか?」


黙っていた飛影に問いかける。


「…聞かなくても分かっているだろう」


自分が行っても構わないと思っているのだが、予想できる展開にノるつもりもない飛影。


「でも未来、誰かが行かないと先に進めませんよ」


「そうなんだけど…」


蔵馬に指摘され、未来はうつむく。


白虎らを倒さなければ、虫笛は壊せず、街は救えない。


分かっているのだが、こんな恐ろしく危険な場所で皆に戦ってほしくなかった。


「未来ちゃん、手ー離してくれ」


「桑ちゃん…」


「アイツの相手はオレだ。タイマンは野球じゃねえ。リリーフ・エースにゲタあずけてベンチで麦茶なんてワケにはいかねーんだよ。てめーのケツぐれーてめーでふくぜ!」


桑原の内にみなぎる漢の勝負へのこだわりを聞き、未来は二人の腕から手を離した。


命を危険にさらす。それを承知で四人は迷宮城へ来ているはずだ。


(本気で戦っているみんなを止める権利は私にはないね…)


そう悟ったのだった。
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ