long dream@


□華麗なる薔薇の舞
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「大丈夫か蔵馬!?」


「血が出てるよ!?」


「心配はいらない…かすり傷だ。不意をつかれて多少驚いたがね」


心配する幽助と未来に、蔵馬が腹をおさえながら応える。


ズズズズ…と玄武は体全体を岩の中に沈め始めた。


「完全に隠れやがった…」


「これじゃあどこから来るかわからないよ」


キョロキョロと桑原や未来は辺りを見回す。



「ばあ!!!!」


突然、またしても蔵馬の背後から現れる玄武。


さらに、前からしっぽで攻撃をして蔵馬をはさみうちにする。


避けた蔵馬だったが、玄武はまた床に沈んだ。


「隠れんな卑怯だぞコラ!」
「汚ねぇ戦い方すんな!」


ヤジを飛ばす桑原と幽助の隣で、未来は手に汗を握りながら戦いの行く末を見守る。


玄武は予想外の方向から現れ、蔵馬を翻弄する。


「オラオラ逃げてばかりでは勝てんぞ!」



「確かに貴方の言う通りだ」



蔵馬はその紅く長い髪の中から、ス…と一輪の薔薇を取り出した。



「オレも本気を出そう」



「薔薇の花!?」
「蔵馬ァ 血迷ったか!」
「あのヤローに花でもプレゼントしようってのか!?」


意外なモノを手にした蔵馬を見、未来、幽助、桑原はすっとんきょうな声を出す。


(あれで何をしようというの…!?)


未来はまったく見当もつかない。



「もちろん、ただの薔薇じゃない。薔薇棘鞭刃(ローズウィップ)!!」



蔵馬の持っていた薔薇がムチ化し、部屋中バラの香りで充満する。


「すごい…」


未来は蔵馬の思わぬ能力に感動していた。



「薔薇をムチにしちゃうなんて…すごいよ、くらまちゃん!美少女に薔薇!似合いすぎだね!」



ピシ。

ローズウィップを手にした蔵馬が固まる。


「…ぶっ…くくく…」


口を抑え、必死に笑いをこらえようとする幽助。


「おい浦飯、あいつ女だったのか?オレはてっきり…」


「いや、桑原オメーが正しい」


「えっ私なんか変なこと言った!?」


小声でこそこそ話す幽助と桑原に、未来が問い掛ける。


「バカか貴様は。蔵馬は男だぞ」


おかしなものを見るような目で飛影がつっこんだ。


「えええええ〜!!」


飛影から告げられた驚愕の事実に衝撃を受け、大声で叫ぶ未来。


「ぶっ…もう我慢できねえ!くらまちゃんって!」


幽助が豪快に笑いだした。


「あの…本当にごめんなさい」


とても失礼なことをしてしまったと、おそるおそる未来は蔵馬に謝る。



パシイッ


「ひっ」


蔵馬がならしたムチに、自分への敵意の表れかと怯える未来。


「いいよ 慣れてるから。玄武、どこからでも来い」


五人が話している間にまた隠れていた玄武に蔵馬が言う。


「くくく…そんなムチで対抗できると思うか。一撃でズタズタにしてくれるわ」


一面岩からなる部屋に、玄武の声がこだました。


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