long dreamB

□ギフト
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未来、ぼたん、雪菜が霊界の応接室のソファでくつろいでいると。


「未来、まだおるか?」


「お疲れ様です」


仕事終わりのコエンマとジョルジュ早乙女が、部屋に入ってきた。


「はい、お邪魔してます!あれ、コエンマ様、今日は霊界にいるのに人間界バージョンなんですね」


「ハンサムなワシと会えた方が未来が喜ぶと思ってな!」


「………」


「おい、何故黙る!」


肯定しない未来に、青年姿のコエンマが憤慨する。


「ま、未来は一応客人だから正装をな!はー、疲れた疲れた」


「今日もよく働きましたもんね」


コエンマがドサリとソファに腰をおろし、ジョルジュ早乙女も続く。


「未来、差し入れありがとな。美味かったぞ」


「未来さん、ありがとうございます!ジュルジュ感激です!」


初めて食べた珍しい人間界の果実は、霊界のプリンスやその部下の口にも合ったらしい。


「喜んでもらえてよかったです!」


ふと未来は、コエンマの目の下にうっすらクマができていることに気づいた。


(コエンマ様、ずっと大変だったみたいだもんな…)


ぼたんによれば、霊界の繁忙期であるお盆が過ぎてもコエンマは激務に追われ心労が絶えなかったらしい。
自分の父親を告発したのだから、精神的にもつらいものがあったのだろう。


コエンマのしたことは正しく、多くの妖怪や人間のためになったのだから、早く元気になってほしいと未来は思う。


「未来。飛影とは仲良くやっておるのか」


「はい!おかげさまで」


「そーかそーか、それはよかった」


幸せそうな未来にニコリとした後、「で」とコエンマは本題に入る。


「飛影とはどこまですませた?Bくらいはいったか。ん?」


「へ…!?」


「答えんということはCか!」


「コラ!」


赤くなった未来に詰め寄るコエンマの頭を、ぺしっとぼたんが叩いた。


「ぼたん!上司を殴るとは何事だ!」


「コエンマ様!セクハラですよ!」


「そうですよ!しかもBとかCとか古いし!今の若い子には伝わりませんよそれ!」


セクハラオヤジ化したコエンマを、ぼたんとジュルジュ早乙女がぎゃんぎゃん責め立てている。


「うるさいな、お前らだって本当は気になっとるくせに!」


耳が痛いコエンマだったが、カマトトぶるなと二人へ反論する。


「それはそうですけど…!」


「ちょ、何同意してるんですか!」


「それみろ」


興味津々だと認めてしまったぼたん。
焦ってツッコむジョルジュ。
何故か威張って得意げなコエンマ。


霊界の三人衆が集まると、五月蠅くて仕方ない。


「未来、実際飛影にはどこまで許したんだい?女同士のよしみであたしにだけこっそり教えとくれよ〜」


「ぼたん、ずるいぞ!」


猫顔をして未来へすり寄るぼたんに、抜け駆け反対!とコエンマが吠えている。


「賑やかですね」


「う、うん。そうだね」


見慣れた光景なのか、ギャーギャー騒いでいる三人を雪菜はのほほんと眺めている。


(ま、まあコエンマ様が思ってたよりずっと元気でよかったな…)


すこぶる本調子のコエンマに、苦笑いしつつ安心する未来。


(ていうか…どこまでいったとか、絶対言わないからね!!)


下衆な話題を提供する気はないと、固く決意する未来なのだった。


「はいはい、この話題終わり!何か他のことしましょう」


パン!と一度未来が手を叩くと、言い争いをしていた三人が振り返る。


「じゃあ、先月発売されたゲームバトラー2でもします?」


ニヤッと得意げに口角を上げ、ジョルジュ早乙女が懐から真新しいゲームソフトを取り出した。


「ジョルジュ、いつの間に買っておったのだ!?」


「実はこの前ボーナスが出た時に…」


「わー、やってみたいです!」


わいわいゲームに熱中していく五人なのだった。


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