long dreamB
□Summer Lover
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初夏の暑さから逃れるように訪れたショッピングモール、水着売り場の一画にて。
「どれも可愛いから迷っちゃいますね」
「未来さんには何色が似合うでしょうか」
「あ、これなんかいいんじゃないかい!?」
並ぶ水着を次々手にとり吟味している、若い女性客5人組がいた。
「未来、これこれ!これ着なよ!」
「ふざけて言ってる!?ムリだよ!」
申し訳程度に添えられた当て布に、少し触れるだけでほどけてしまいそうな細い紐。
かなり露出度高めのブラジリアンビキニをぼたんから薦められ、躊躇う未来。
「え〜?なんでだい?これなら飛影もイチコロだと思うけどねぇ」
「……ぼたんならこれ着れるの?」
「いや、あたしは選ばないね。こんなほぼ裸みたいなのは…。公然猥褻レベルだよコレ」
「そう思うなら薦めないでよ!!」
未来なら着こなせると思ってさ!とぼたんは片目を瞑るが、納得いかないといった表情の未来である。
そんな二人の掛け合いに、クスクス笑う螢子、静流、雪菜たち。
飛影との初デートは明日に迫っている。
今日は静流招集の元に女子会が開かれ、未来の水着を皆で選ぼう!という話にランチ中なり、ショッピングモールを訪れた次第である。
「あたし的に飛影くんって彼女が露出度高いビキニ着るの嫌がるタイプだと思うんだけど、皆の意見は?」
「たしかに…。飛影さん、未来さんのことすごく大事にしてそうなイメージありますし」
静流の見立てに、ウンウンと螢子が同意する。
「飛影くんってやっぱ独占欲強いの?どうなの未来ちゃん?」
「え!?どうなんでしょう…」
「そりゃ強いに決まってるさね。幽助から聞いたよ、なんでも飛影が未来のこと触るなって言ったって」
「あ〜!!ストップぼたん!」
顔を真っ赤にした未来が慌ててぼたんを止めに入る。
「なになに、飛影くんそんなこと言ったんだ!」
「ホント飛影ったら未来のこと大好きなんだねぇ」
「も〜…その話禁止!」
恥ずかしそうにむくれる未来が可愛くて、なんだかんだ幸せそうで周りの四人はニコニコ笑っている。
「未来さんが今持ってるものも素敵ですね」
「これ?うん、可愛いなって思って」
雪菜が褒めたのは、未来が手に取っていたワンピースタイプの水着だった。
「未来ちゃんに似合いそうだね!ただせっかくのデートなんだから、もうちょっとだけ攻めてみてもいいかもよ?」
「せ、攻める…」
静流のアドバイスにたじたじになりつつ、他の水着も探してみる未来。
(あんまり露出してるのは恥ずかしいし…)
プールのチケットをもらった時は初デートが決まった喜びに気をとられていたが、期日が近づくにつれ飛影の前で水着になることに未来は緊張していた。
(あ、これいいな)
未来が目をとめたのは白いブラに、水色を基調とした花柄のボトムのビキニだ。
ブラにはフリルレースがついていて、ショーツと同色のショートパンツが付属しているため、セパレートタイプの水着であるが露出度を少し抑えている。
「可愛いですねそれ!試着してみたらどうですか?」
「うん!螢子ちゃんも何か着てみないの?」
「でもそんな予定ないし…未来さんが今度一緒にプールか海へ行ってくれるなら別ですけど」
「もちろん!皆で一緒に行こうよ」
「ぜひ!嬉しいです」
「何なに、ダブルデートの計画かい?」
盛り上がる螢子と未来を、猫顔になったぼたんが冷やかす。
「違うよー!今度女子だけで海かプール行こうって話」
「お、いいね!皆いつ空いてる?」
未来の提案に口々に賛成し、さっそく遊ぶ計画を立て始める五人なのだった。