long dreamA
□伝えたいこと
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「ちょっと怖かったな」
「怖かったの?あんなに楽しそうだったのに」
空中回転ブランコを乗り終えた二人は、次に乗るアトラクションを探すべく遊園地内を並んで歩く。
「すっごい楽しかったんだけどね。乗ってる途中にブランコを繋いでる鎖が外れたらどうしようって思って、怖くなっちゃった」
「オレがいるから大丈夫だよ」
想像するだけで恐ろしい事故の不安を未来が述べれば、さらりと蔵馬が告げた。
「そうだね…蔵馬がいたら安心だね」
彼の台詞になんだかドキッとしてしまった未来が、平然を装いつつ同意する。
高い身体能力を持つ彼と一緒なら、万一事故が起きてしまったとしても助けてくれるだろう。
「じゃあ次はあれ乗ろうか」
蔵馬が指差したアトラクションに、未来の顔が引きつる。
「ジェットコースター…?ちょっと私はパスかなー…」
「オレと一緒なら安心なんでしょ?」
ニッコリと笑う蔵馬の笑顔に、未来は黒いモノを感じた。
「言ったけどさー…蔵馬のいじわる!」
「はいはい。さっさと並ぶよ」
少しむくれた未来の文句を適当にあしらい、蔵馬は彼女の手を引き遊園地の目玉である絶叫系コースターの列へと向かう。
自然に繋がれた手と手に、また未来の心臓が跳ねた。
「も、もしジェットコースターで事故が起きたらちゃんと助けてねっ」
ドキドキする心をごまかすように、蔵馬に念を押す未来。
「まだ事故の心配してるの?」
過剰に不安になっている未来に、蔵馬は呆れつつ笑っている。
「するよ!蔵馬や幽助たちと出掛けたら、平和に終わるわけない気がするもん。何かしらハプニングに巻き込まれそう」
「…オレたちは疫病神ですか」
四聖獣、暗黒武術会、魔界の穴…
まあ色々巻き込まれてきたのは事実なので、反論が難しい蔵馬であるが。
「だから、もし私がアトラクション乗ってる最中にシートベルトが外れて飛ばされちゃってもさ」
未来にとっては切実な願いだ。
一言一言、ゆっくりと言葉を紡ぎ頼み込む。
「ちゃんとローズウィップか何かで捕まえて助けてね」
「……当然だよ」
ギュッと未来の手を握る力が強まると共に、蔵馬は短く返事をする。
本当に彼女を縛って、自由を奪いこの腕の中に捕まえておけたらどんなにいいだろうと心底思いながら。