long dreamA
□home sweet home
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「いってきまーす」
幻海に見送られ、夕飯の買い出しに出かける未来。
「今日は何作ろうかな〜」
幻海邸の階段を降りる未来は、ふもとの木陰に馴染みの仲間の姿を見つけた。
「飛影!?」
急いで階段を駆け降り、彼の元に向かう。
「おはよう!私もさっき起きたとこでさ」
「その様子だと、幽助が勝ったんだな」
「そうだよ!もうすっごいパワーだったんだから!飛影、絶対幽助の戦い見れなかったの悔しがるだろうなって思ってたんだ」
黒龍波を使った疲労で早々に眠ってしまった飛影に、未来は熱く一部始終を語る。
「…今に追いついてやるぜ」
「飛影なら、きっとすぐだよ」
誰に言うでもなく呟いた飛影に、未来は同意する。
なんたって彼女は飛影最強説の提唱者なのだから。
「今から私、食料品の買い出し行くんだ。飛影も一緒に行ってついでにうちで夕ご飯食べてく?」
「付き合ってやる」
仙水のアジトで振る舞われた未来の朝食を思い出し、心惹かれた飛影は即答した。
二人は並んでスーパーまでの道のりを歩く。
「蔵馬とは何か話した?」
「オレが起きた時にはもういなかった」
「蔵馬、飛影のことおんぶして家に連れて帰ってくれたんだよ」
入魔洞窟前で解散した一同は熟睡する飛影を放置して帰るわけにもいかず、ひとまず蔵馬が彼を自宅に連れ帰ったのだ。
蔵馬の部屋で飛影が目覚めた時、既に彼の姿はなく登校したあとだった。
窓から勝手に抜け出しそのままここへ来た飛影である。
「にしても蔵馬、あんな死闘の後の徹夜明けで学校行ったのか。えらいな〜」
夕方三時まで寝ていた自分が恥ずかしくなってくる。
「いらっしゃいませ〜」
そうこうするうちに目的地のスーパーに到着した二人は、ちょうど出入り口付近にいた店員の声に出迎えられる。
様々な物品が並び軽快なBGMが流れる店内を、きょろきょろ眺める飛影。初めてのスーパーが目新しいようだ。
「何か食べたいものある?」
「任せる」
「う〜ん…リクエストがないならハンバーグにしようかな。あと適当におかず数品」
万人受けしそうな料理を作ることにした未来は、買い物カゴの中に野菜や合いびき肉を入れていく。
「今日はアイス買ってこ。魔界の穴の事件が無事解決したお祝いとご褒美にお風呂上りに食べるんだ!」
あらかた食材を選び終え、最後にアイス売り場へと足をのばす。
「あいす?」
「冷たいデザートのことだよ。美味しいよ〜」
ひんやりとした冷気がこもる冷凍室を、飛影は興味深そうに眺めている。
「飛影もいるしファミリーパックにするか」
彼とこうしてスーパーに来ているなんて、不思議な気分だ。
この世界での生活に慣れたように、もしかしてこんな場面も日常に変わる可能性があるのだろうか。
そんな予感がほんの少し未来の頭を掠めたのだった。