long dreamA


□Story
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「…まだあるぜ。裏切りの門攻略したのも、虫笛壊したのも未来だったな」


桑原に代わり、淡々と落ち着いた口調で話始めたのは幽助だ。


「でもよ…たとえオメーが何の活躍もしないお荷物だろうが、オレたちゃ別にかまわねーんだよ」


未来には目から鱗の言葉だった。ずっと皆と一緒に戦えないことに後ろめたさを感じていた彼女だったから。


「あの武術会に命かけてたのはオレらだけでなく未来、オメーもだろ」


すっと真っ直ぐ未来の胸を指さした幽助。


暗黒武術会で、優勝商品となった未来の命運は浦飯チームと共にあった。決勝戦では選手としてチームの一員にも未来はなった。


「オメーが一度でもオレらの強さを疑ったことがあったか?劣勢の時に責めたことがあったか?怒ったことがあったか?桑原もさっき言ってたけどよ、いつもオレたち信じて試合見送って、そばで応援してくれたよな」


未来はいつも全幅の信頼を寄せてくれていたと、武術会での死闘を回想しつつ幽助は語る。


戸愚呂戦での勝利に未来は文字通り命を賭けてくれたし、あくまでも自分のためだと会場の妖怪たちを救う姿には不思議と笑いがこみ上げた。今日、彼女の潔く強い意志のこもった別れの言葉を聞いた時と同じく、また立ち上がる力をもらえた。


「未来がオレら信頼して命預けてくれてさ、すっげえパワーもらったぜ。プレッシャーじゃなくて、なんかこう頑張らねーとなって気合入るんだよ。サンキュな」


ニッと口角を上げた幽助が、親指を立て感謝を述べた。今日の彼は、やけに素直だ。


(桑ちゃん…幽助…)


感極まって言葉が出ない。


「未来」


そんな未来に次に声をかけたのは、蔵馬だった。


「未来はオレたちに守られてばかりと言ったが…未来の存在に、未来の言葉にいつもオレたちは勇気づけられ守られてきた」


皆にたくさん守られてたくさん勇気をもらってきた。
死ぬ前に未来が思ったこと。


同じ気持ちも彼らも抱いていたと知り、未来は肩を震わせる。


「現にオレは何度も未来に救われた。未来に支えられてきたんだ」


劣等感や悔しさ。ふがいなさ。
未来の胸の中にあったわだかまりが、皆の言葉で消えていく。


未来も大事な浦飯チームの一員なんだよって、そう言ってもらえた気がする。


「オレは五人のうち誰が欠けても嫌だ」


(蔵馬…)


血がかよっていないのではと思わせるほど普段冷たい妖狐の瞳が、今はとてもあたたかく感じた。


「こいつもオレらと同じこと、絶対思ってるはずだぜ」


桑原が自信たっぷりに、飛影の寝顔を顎でしゃくる。


(飛影…)


口数が少ない分、飛影の言葉はいつも真っ直ぐ届いたなあと思い返す未来。


(そんな優しい言葉ばかりかけられたら…)


未来の涙腺が崩壊するのも、無理はなかった。


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