long dreamA


□Story
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「た、助かったよ蔵馬…。あ、今は妖狐の姿なんだね…」


ゲホゲホと咳き込む未来が蔵馬に礼を言う。


しかしホッとしたのは束の間、今度は蔵馬の腕の中に引き込まれていた未来。


「蔵馬…?」


妖狐の白装束に包まれて、また未来の心臓が早鐘のように鳴る。


「優しくするから。しばらくいいか?」


彼にしては弱弱しく掠れた声で頼まれれば、いいえとは言えなくて。


「うん…」


ピンク色に頬を染め、小さく返事をする未来。蔵馬の胸に大人しく顔をうずめ、優しく抱き締める彼の腕を振り払おうとはしなかった。


「「……」」


妖狐の放つ色気に、ゴクリと生唾を飲み込み二人の抱擁を無言で見守ってしまう幽助と桑原。そわそわして落ち着かない気分になるのは何故だ。


「ちょ…何イチャついてんだオメーら!離れろ!」


しばらくして、我に返った幽助がやっぱり二人を引き離した。


「どうして止めるんだ幽助。未来が生き返ったんだ。当然の行為だろう」


「仲間同士の抱擁には見えなかったけどな。なんかエロかったぞ」


「エ、エロ…!?」


蔵馬の腕から解放された未来は、幽助の感想に動揺し二の句が継げない。


「とにかく、未来ちゃんも浦飯も生き返ってよかったぜ!」


「うんうん、本当よかったよね!」


変な感じの空気になった場を桑原が仕切り直し、これ幸いと未来は彼の話題にのる。


「しかもさ、一度死んだことで私に宿ってた仙水の魂の一部も消えたの!これでもう私が生きてる限り仙水は死なないなんてことはなくなったよ」


「おお、よかったな!はあ〜、まったく未来ちゃんにはひやひやさせられたぜ。勝手に死ぬ覚悟なんてするんだもんな。たまたま魔族だったから生き返れたものの」


「だって私はいっつも皆に守られてばかりで、何も返せてなかったから。最期くらい皆の役に立ちたかったんだ」


明るい口調で言った未来のその台詞で、桑原の顔から笑みが消えた。


「…桑ちゃん?」


「ふざけんな!今まで役立たずだったから死んで役に立とうって!?」


真剣な表情で桑原が怒鳴り、未来は意表を突かれる。


「雪菜さんを身を挺して守ってくれたのは誰だ!?左京のゲームん時、御手洗ん時、沢村たちのために戦ってくれたのは!?!」


まくしたてる桑原に、未来は口を挟めない。


「いつも笑って、頑張ってって…オレらを信じて試合に送り出してくれたのは誰だよ…!オレは覚えてるぜ!死んでも忘れねー!」


彼が本気で怒っていると、自分の発言で彼をひどく悲しませてしまったと、その瞳を見れば分かったからだ。


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