long dreamA


□心の声
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時折御手洗が道案内をする以外は、無言で洞窟を進む一行。


誰も歓談する者はいなかった。
できる空気ではなかった。


暗い洞窟の奥、広々として昼間のように光の差し込む場所についに一行は辿り着いた。


ここが最終決戦の舞台だ。


「ふひゃめひ!」


猿ぐつわを咥えさせられ、身体を縛られた桑原が叫ぶ。


隣には穴を開けていた張本人・樹であろうグリーンの長髪をした細身な男と、巻原が立っていた。


「ようこそ」


そして、ソファに鎮座しているのは全ての首謀者・仙水忍。


奥の空間からは魔界の瘴気が漏れ、穴が開く寸前であることが窺える。


「穴はすでに樹の手を離れた。開通するまであと三十分といったところか」


「早く桑原を返しやがれ」


「巻原を倒したら桑原くんは君たちに返そう」


あっさりと交換条件を提示してきた仙水。


彼に命じられた巻原が、その巨体を揺らし幽助たちの前へ躍り出る。


「御手洗さー、頭ん中桑原助けることばっかじゃん」


一同が驚く暇のないまま、間髪入れず巻原は続ける。


「飛影って人は未来って子を守ることで頭いっぱいだし。そんなに心配しなくてもオレ女の子には優しいから大丈夫だよ」


馬鹿にするように巻原は言い、動揺する飛影の様子にさらに口角を上げる。


(え…?)


思わず未来は飛影の方を見たが、目が合うと気まずそうな彼に顔をそらされる。


「未来はさ、何故この場に自分が呼ばれたのか気になるんだね。さあねー、仙水さんに聞いてみないとオレも知らないや」


次から次へと仲間や自分の心を読んでいく巻原に、未来はたじろいだ。


そこで、まさかと思いつつ一つの仮説が頭に浮かぶ。


「ピンポーン、その通り。室田って奴の能力はオレが食っちゃった」


「ヤロォ!」


「手を出すな」


こめかみに青筋を立て一歩前に出た幽助を、蔵馬が阻む。


「こいつはオレがやる」


ヒュッと風を切り、蔵馬が薔薇棘鞭刃(ローズウィップ)をしならせたかと思えば既に巻原の顔は真っ二つに切断されていた。


「あ…!」


一瞬で巻原を無残な姿にした蔵馬に、肩を縮める未来は言葉らしい言葉が出ない。


(蔵馬が…完全に冷酷に徹した…!)


おびただしいほど血が吹き出し、真っ赤に染まる辺りと割かれた首の断面。


吐き気を催す光景に、未来は口元を押さえる。


「見え透いた芝居はやめろ。立て戸愚呂」


「くくく」


倒れた巻原に蔵馬が命じると、むくりと起き上がった頭部のない身体から、見覚えのある顔が生えてきた。


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