long dreamA
□スリーセブン
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「くそ、あいつハンパじゃねーな。あとはもう蔵馬に頼るしか…」
地団駄を踏む幽助は、ふとあることが気にかかる。
「そういや今まで三人が楽勝してたから気にしなかったが、天沼の領域(テリトリー)の中でオレたちが負けちまったらどうなるんだ?」
「私が昨日の夜、レースゲームで負けたときは何も起こらなくて大丈夫だったよ。海藤くんも見たところ何ともないみたいだけど…」
今回も同じだという確証はなく、未来はごくりと生唾を飲んで海藤を見守る。
「なんか調子狂うなあの天沼って奴」
頭をかきながら呟いた海藤は、特に様子が変わったようには見えない。
「ただ対戦ゲームをやって楽しんでる感じだ。本当にあいつ仙水のやってることわかって仲間になってんのかな?」
「海藤、お前何ともないのか?」
「ああ。オレの能力みたいに魂取られるくらいは覚悟してたんだけど」
「そうか。もしや…だとしたら」
「蔵馬、何か分かったの!?」
顎に手を当て考え込む神妙な顔の蔵馬に、未来は詰め寄る。
「多分オレたちはゲームで何回負けても何ともない。だがあきらめると死ぬことになる」
蔵馬の説明はこうだ。
ゲームバトラーでは、主人公側が負けると“つづける”か“あきらめる”二つの選択肢が提示される。
“つづける”を選ぶとゲームを再開できる。
しかし“あきらめる”を選ぶと主人公たちの墓をバックにジ・エンドの文字が出る。
「おいおい…ちょっと待てよ」
ということは、だ。
蔵馬の解説を聞き終えた幽助が、額に汗をかく。
「天沼に勝たねー限りずっとここでゲームしてなきゃいけねーのか!?そんな時間はねーぞ!」
「天沼はオレたちと命のやり取りをする気はないんだ。目的は穴が開くまでの時間稼ぎだろう」
「その通り!時間が来たらすぐに領域(テリトリー)は解いてやるよ。オレが今朝わざと負けて未来を解放したみたいにね」
ふふんと不敵に笑う天沼には、ゲームマスターの風格が漂う。
「あのガキ、最初っから時間稼ぎが目的か。だからこんなのんきにゲームを楽しんでやがるんだ」
「飛影、黒龍波で領域(テリトリー)壊せちゃったり…しないよね!?」
「無理だ。出来てたら昨日とっくにやっている」
天沼の領域(テリトリー)の中では暴力行為は無効で、脱出するにはゲームで彼を倒すしか方法はない。
全く勝算のない戦いに、幽助、未来、飛影はお手上げだ。