long dreamA
□遊熟者-game master-
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暗闇の中を、恐る恐るアカル草の明かりをたよりに進んでいく。
(怖いなあ…私お化け屋敷とか苦手なんだよー!)
今、未来は入魔洞窟内にいる。
洞窟の先を突破するには七人プレーヤーを揃えて天沼とゲームバトラーで対戦しなければならず、人数合わせのために外で待機していた幻海、海藤、未来も駆り出されたのだ。
一人置いていかれるぼたんは多少むくれていたが、ゲームバトラー未経験だから仕方ないと納得し、応援の言葉と共に皆を送り出してくれた。
「師範、ちょっと掴まらせてください…」
「なんだ未来、怖いのか?全くうっとおしいねえ」
そう言いつつも、幻海は腕に絡む未来の手を払おうとはしない。
「どうせなら蔵馬にくっついたらどうだい?」
「なんで蔵馬!?」
「未来、オレは構いませんよ」
からかうような蔵馬の声が前方から聞こえるが、その姿は見えない。
アカル草の微かな明かりだけが灯る洞窟内では、最後尾の未来は前を歩く幻海と御手洗、その前にいる海藤の姿を捉えるのがやっとだった。
先頭にいる幽助や蔵馬、飛影らの姿は未来には全く見えない。
「未来、蔵馬が嫌ってんならオレでも構わねえぜ」
調子のよい幽助の声が洞窟に響く。
「…なんか蔵馬が言うとスマートなのに」
「幽助が言うと下心が見え見えだな」
「ああ!?どう考えても紳士的だろうがよ!」
未来と幻海の女性陣二人に不埒な心を見透かされ、ギクッとするも憤慨する幽助である。
そんな一幕があったりしつつ、七人は洞窟内を歩いて行く。
(うはあ、緊張する…)
未来だけではない、全員が程度に差はあれ戦いの前の緊張感を抱えており、それぞれ胸中で思うことがあったのだろう、七人は無言で暗闇を進んでいた。
まあ、未来に関してはお化けが出ないかという恐怖からの緊張が大半を占めていたが。
散々妖怪と遭遇し霊界に行ったことがあっても、やはり幽霊は怖いらしい。
(一番後ろは怖いなあ…私、真ん中に移動させてもらおうかな)
先頭を行くのは最も嫌だが、最後尾を進むのも恐怖がある。
だって、なんだか存在しないはずの誰かに後ろからポン、と肩を叩かれそうだから。
「ひっ…」
そう、こんな風に。