long dreamA


□雨の訪問者
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「うおおおおおお!」


「バカが!自分から突っ込んできやがった!」


三人を捕らえる巨大液体生物に正面から体当たりする桑原だが、その大きな身体にのまれてしまう。


息のできない中、必死に外に出ようと暴れるも全く効果がない。


「ボクの領域(テリトリー)は最後、出ることは不可能だぜ!ボクを倒さない限りはな!」


閉じ込められた桑原を、外界から御手洗が嘲笑う。


(くそ、オレの霊力はどこにいっちまったんだ!)


このままじゃ沢村も、桐島も、大久保も、自分も全員死んでしまう。


窮地に立たされた桑原は、がむしゃらに液体生物の体内から拳をふるい続ける。


「ムダだって言ってんのが分からないのか!?」


しかし、高らかに笑っていた御手洗の頬に、薄く一筋の切り傷が入る。


たらりと頬から流れていく鮮血に、御手洗は目を疑った。


「まさか…あの中からボクを攻撃するなんて次元を超越しない限り不可能…」


動揺する御手洗は、ある一つの結論にたどり着く。


「未来じゃなかった…まさか…お前がボクたちの探していた…」


次元を乗り越えた桑原の攻撃を、御手洗は呆けたように棒立ちになったまま受け続ける。


「次元を切り裂く能力者…!?」


「ぐおおおおー!!!」


桑原の雄たけびと共に液体生物の身体は完全に切り裂かれ、術者の御手洗の身体をも深く傷つける。


外界へ解放された桑原の手には霊剣のような刀が握られていた。


「今度はこっちの番だぜ。覚悟しろよ」


流血し倒れ込んだ御手洗を、仁王立ちになった桑原は睨みつける。


「と、言いてえとこだがな」


死を覚悟した御手洗の腕を、桑原が引っ張り背中におぶった。


「ど、どこへ連れて行く気だ!?」


「ここに置いといたら死んじまうだろうが」


桑原は気絶している沢村たち三人もまるごと背負いあげると、彼らを引きずって一歩一歩ゆっくりとだが歩き始める。


「てめーは大事な証言者だからな。全部話してもらうぜ。お前らのこと、人間界をぶっ壊したい理由…未来ちゃんの居場所や連れてったワケもな」


「だからって助けるかよ…たった今お前らを殺そうとしたのに」


桑原の背中の上で揺られながら、御手洗の意識は徐々に遠のいていった。


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