long dreamA
□いざ霊界へ
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「首謀者に心当たりがあるって?」
コエンマの宮殿まで歩く道すがら、衝撃の未来の発言に思わず聞き返してしまう蔵馬。
「うん。あの男を見た時どこかで見た顔だなって思ったんだけど、以前コエンマ様からもらった本にのってた人にそっくりだって気づいたの!」
未来は持参した『霊界重要参考人』と表紙に書かれた本を広げる。
暗黒武術会で未来が裏御伽チームに潜入することになった時、コエンマがくれた本だった。
「これこれ、見て!この写真より歳はとってたけど、あの男と同一人物だと思う」
「仙水忍…。元霊界探偵だと?」
未来が指差したページに写る、黒髪の青年に蔵馬は眉を寄せる。
「だとしたら…コエンマは首謀者を知っているはずですね」
「そう。だからコエンマ様に報告しなきゃと思って」
幽助と同じ霊界探偵であった男が今回の事件の首謀者だなんて、にわかには信じ難いが、とにかくコエンマに伝える必要があるだろう。
宮殿に入ると、未来はコエンマの自室の扉をノックする。
「コエンマ様。未来です。蔵馬と来ました」
「おお、入れ入れ」
コエンマの返事に、未来はガチャリと扉を開ける。
「どうした二人共。何かあったか?」
「わあ、未来さん、蔵馬さんお久しぶりです」
「こんにちは。実は…」
部屋の中央の大きな机に鎮座したコエンマと、その傍らに立つ側近のジョルジュ早乙女に挨拶すると、未来は早速本題に入る。
「私、首謀者が誰か分かったんです!コエンマ様が前にくれた本にのってました。仙水忍、元霊界探偵の男です!」
未来は霊界重要参考人の本の該当ページをコエンマの前に広げる。
「…それは本当か?未来」
「はい。確証は持てないですけど、この写真の男にそっくりでした」
コエンマは言葉を失っているようだ。
まさか、かつての部下である身内に首謀者がいたなんてよほどショックだったのだろうと未来は思った。
しかし。
「コエンマ。首謀者の正体に前から感づいていましたね?」
思わぬ蔵馬の台詞に、未来は耳を疑った。