long dreamA


□医師-doctor-
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額を撃たれた室田の治療のため、一行は大凶病院を訪れていた。


包帯を巻かれた室田を囲み、病院ロビーのソファに座る。


室田が語った、オールバックで黒服の男の声の内容はこうだった。




皆殺しだ…
墓でこの世を埋めてやる

全ての人に墓を掘る
俺たち七人で墓を掘る

暗黒天使(ダークエンジェル)
門番(ゲートキーパー)
狙撃手(スナイパー)
美食家(グルメ)
遊熟者(ゲームマスター)
医師(ドクター)
水兵(シーマン)

あと一人必要だ
目星はついてる
扉が開く日も近い




ぞっとするような悪寒がはしるセリフに、一同はしばし沈黙となる。


七人の人物の特殊な呼び方は、おそらく彼らの能力に関係したニックネームだろう。


「あの男の声で手がかりになりそうなのはこれだけであとは異常な殺意だけだったぜ」


もう男の声を思い出したくもないと、室田はぶるっと体を震わせた。


「敵は今んところ七人か。で、魔界の扉を開くにはもう一人必要だと」


「浦飯さん、じゃあオレたちが先にその奴らの探している能力者を見つければ穴を開けるのを阻止できるかもしれないっすよね」


「ああ。だがどんな能力の人物なのか見当もつかねー。目星はついてるってくらいだから奴らがそいつとコンタクト取るのも時間の問題だろうし」


城戸に同意する幽助だが、見通しは暗い。


「…私、その狙撃手(スナイパー)って奴に、多分会ったことある」


「なんだと未来!?いつ!?どこで!?」


「一ヶ月前、この蟲寄市で。たしかに自分は狙撃手(スナイパー)だって名乗ってた…!」


衝撃の未来の告白に、有力な情報が掴めそうだと幽助らはつんのめる勢いで耳を傾ける。


「御手洗くんって突然気分が悪くなった男の子を、医師(ドクター)にみせるって言って…この大凶病院に連れてきてた」


忘却の彼方にあった重要な記憶の断片を、未来は少しずつ紡ぎ始める。


「切れ長の目をした、十代後半くらいの若い青年だったよ。名前はたしか…刃霧要…!」


「刃霧要!そいつが狙撃手(スナイパー)の名前か!さっきのオールバックの男とは違う奴か?」


「うん。刃霧の方がもっと若かったよ。それに…」


刃霧には、あの男のような薄気味悪さはなかった。


一目見た瞬間、こいつはやばい、異常者だと思わせる何かが、あの男にはあった。


「コレで室田を撃ったのはその刃霧とかいう狙撃手(スナイパー)だろうね」


幻海が消しゴムの切れっぱしを掴みながら言う。


「そ、そんなもんでオレの頭を割ったのか!?」


「ど、どんだけー…」


空いた口が塞がらない室田と未来。


刃霧が相当の能力者であることを、皆はひしひしと感じる。


きっと、他の能力者も刃霧のようなツワモノばかりなのだろう。油断はできない。


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