long dreamA


□盗聴-tapping-
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「これからお前を右ストレートでぶっとばす。真っすぐ向かっていくから覚悟しろよ」


「なんだと?」


対戦相手に次の手を教える輩が他にいるだろうか。


不可解な発言をする幽助を男は訝しがり、彼の心を読むことにする。

すると…



右ストレートで ぶっとばす
真っすぐいって ぶっとばす
右ストレートで ぶっとばす
真っすぐいって ぶっとばす
右ストレートで ぶっとばす
真っすぐいって ぶっとばす



幽助の頭の中は、他の雑念は何もなくその言葉一色だった。


(大バカ野郎だぜコイツ。マジで真正面からとびこんでくる気だ)


こんなに楽勝な相手はいないと、男は笑みを抑えられない。


しかし、幽助の強さは男の想像をはるかに凌駕していた。


「行くぜ」


(! はええ!)


気づけば、避ける間もなく幽助にふっとばされ気絶した男の姿があった。


「すげぇ…!」
「動きが見えなかった…」
「はっや〜い…」


「あれで三分くらいの力だ」


感嘆の声をもらす城戸、柳沢、未来の三人に、幽助の師匠の幻海がどこか得意気に述べた。


「寸止めしたんだけどな。衝撃波でぶっ倒しちまった」


床にのびた男を見、幽助はポリポリと頬をかく。


「柳沢、こいつを模写(コピー)してみてくれ」


幻海に命じられ、柳沢が男の背に手を当てる。


「…こいつシロですね。何も知りませんよ。室田というアマチュアボクサーの男です」


模写(コピー)能力で、室田という男の姿になった柳沢が応えた。


「そうか。だがこいつは使えるな」


室田の能力は戦いに利用できると、幻海は考える。


「店長…オレ頭いかれたんですかね」
「夢だ!夢に違いない!わははは!」


そんな彼らの傍では、一部始終を見て呆気にとられた店員らがいたのだった。


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