long dreamA


□盗聴-tapping-
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「いらっしゃいませ」


入店した五人に店員が礼をする。


店内には店員二人と麻雀卓を囲む客が四人。


(この中の誰か、あるいは全員が能力者…!)


油断できない、と未来は今一度気を引き締める。


「げー、またあがりかよ」
「あんたこっちの手全部見えてんじゃねーの」


ガタン、と席を立つ客三名。


どうやら残りの一人が勝ち続けていたらしく、付き合ってらんねえ、と悪態をつきながら店を後にする。


「オレは心の中が読めるんだよ」


そんな彼らに、残った男が意味深なセリフを吐いた。


「そこの連中。何か用か?お前らも能力者だろ」


瞬間、より一層の緊張が未来たちに走る。


(な、なんで知ってるの!?)


思わず城戸と柳沢の方を振り返る未来。


「だから言ったじゃねーか、オレは人の心が読めるってよ。お嬢ちゃん?」


「!!」


続けざまに心の中を見透かされていて、未来は言葉が出ない。


「で、何の用だよ」


「穴を掘ってる奴らを探してる」


椅子から立ち上がった男に、未来とは対照的に冷静な幽助が答える。


「界境トンネルとかいうやつか?」


「知ってんのか」


「お前らがさっきから言ってるじゃねーかよ、心の中でよ」


本当にこの男の能力は人の心を読むことなのだろうか。
そして、魔界への穴を開けている一味の仲間なのだろうか。


それを確かめるべく、城戸が一歩前に出る。


(心を読むのがハッタリなら、オレに影を踏ませないはず…!)


城戸が領域(テリトリー)を広げたのが、未来たちにもわかった。


一歩一歩、男に近づく城戸。しかし。


「影は踏ませねぇぜ」


城戸が影を踏む前に、男は彼の腹を連続で殴りつけた。


「ぐはっ…」


「城戸くん!大丈夫!?」


殴りとばされた城戸の元へ未来は駆け寄る。


「まだやるかい?これでもプロボクサー志望だぜ」


心を読めて相手の攻撃がわかる自分は無敵だと言わんばかりに、男はシュッシュと素振りをしてみせた。


「心を読むってのは本当みてーだな。あんたがただの能力者なら協力してくれねーか」


「やなこった。お前ら全員倒してでも帰るぜ」


「やれやれ」


非協力的かつ好戦的な能力者を前に、幽助は仕方なく上着を脱いだ。


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