long dreamA
□WILD WIND
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「B級…?戸愚呂がB級!?」
あの戸愚呂が。
あの、とてつもない強さの戸愚呂でさえも。
拳をぶつけあった間柄、誰よりも彼の強さを知る幽助は驚愕し、あまりの衝撃に未来は言葉が出ない。
『さらに魔界の奥底には、A級妖怪と超A級といわれるS級妖怪がいる』
「なっ…」
幽助は自分の知っている強さ、世界の狭さを思いしらされた。
『A級とS級妖怪だけは一匹たりとも人間界に侵入させてはならん!絶対にだ!』
ダンっと机を叩き力説するコエンマ。
B級妖怪全てより、A級以上の妖怪一匹が脅威なのである。
「一体何の話してんだよ!B級グルメとかそういう話か?モニターが見えねーオレにも説明しろ!」
「あ…桑ちゃん霊感がなくなってるから見えないのか」
「桑原くん、オレが説明しますよ」
たった一人現状を把握していない桑原の発言に未来の緊張の糸は少しとけ、蔵馬が語り手を名乗り出る。
「…まだ納得できんな。どうやってそんな穴を開けたというんだ」
飛影の疑問は、口には出さなかったか皆が抱いていたものだった。
『結界に穴を開ける術者がおるのだろう…。未来のように結界を通り抜ける能力を持つ者もおるのだから、穴を開けられる者がいてもおかしくはない』
「なるほど。じゃあ私の力の進化系ってとこかな?」
未来は未来自身しか結界を通り抜けられないが、その術者は結界に穴を開けて自分以外の他人をも移動可能にするということか。
『進化系と呼ぶにはだいぶ話が飛躍した気もするが、まあそういうことだな』
「じゃあその術者を倒せば、穴を開けんのは阻止できるんだな!?」
自己完結し、すくっと立ち上がる幽助。
「よっしゃ今すぐぶちのめしてやるぜ!オメーら地元なら案内しろ」
「バカタレ!!」
城戸らに命令し部屋を飛び出そうとした幽助に、幻海から鉄拳がお見舞いされた。
「敵の能力も知らずに今回と同じヘマをやる気か!何のためにこんな芝居をやってみせたと思ってるんだ」
「でもよ、もたもたしてたら穴は広がる一方なんだぜ!?」
「敵が何人かボスは誰かどんな能力か。これを知ることが先決だ」
はやる気持ちを抑えられない幽助だが、幻海の言うことはもっともである。
「幽助、急がば回れっていうじゃないか。蟲寄市の偵察は後日にしよう。あたしも同行するからさ、頼りにしとくれ!」
「…別にオメーの活躍に期待してねーよ」
あーヒドイ!っとぼたんがむくれ、クスクスと周りの者は笑い、重い雰囲気がいくらか柔らかくなった。
しかし、そんな和やかムードが続くこともなく。
「コエンマ、今のオレは何級だ?霊界ではオレを何級にランクしている」
唐突に投げかけられた飛影の質問に、コエンマはたじろぐ。
「飛影!」
「答えろオレは何級だ?」
蔵馬が咎めるも、飛影は無視をし再度問いかける。
(うおおお〜…やっぱりそこ聞いちゃうか飛影)
コエンマが何と答えるか、未来もドキドキだ。