long dreamA
□模写-copy-
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「なんだこりゃ!?七つも階段があるぞ!?」
目の前に現れた七つの階段が立ち並ぶ光景に、桑原はすっとんきょうな声をあげる。
そんな桑原、未来、飛影、蔵馬の横には柳沢の姿もある。
柳沢を眠らせたまま先を進んだ一行だったが、つき当たったドアに“このドアを柳沢の許可なく開けることは浦飯の死を意味する”との貼り紙があったため、やむなく彼を起こしたのだった。
「浦飯は二階にいる…が、一人一人違う階段を使ってもらおう」
「べ、別行動!?」
皆と離ればなれになると柳沢から告げられ、とたんに心細くなる未来。
(そんなあ。この階段の先に誰か敵がいても私じゃ太刀打ちできないよ。四聖獣みたいなのがいたらどうしよう…)
心配しているのは、未来だけではないらしく。
「このどれかの階段に罠や化け物がいるんじゃねーだろうな!?」
「さあね〜。全部の階段にいるかもよ?」
「んだとォ!?未来ちゃんもいるってのに…」
桑原ははぐらかす柳沢に牙をむける。
「…今度は何を考えているんだ?」
「さあな。だがあんた達はオレの指示に従うしかねェはずだぜ」
蔵馬が問うも柳沢の言う通りであり、人質となっている幽助がいる以上、おとなしく指示に従うしかない。
「しょうがない!とにかく先を進もう。私はこの階段にする」
未来は勇気を振り絞り、自ら率先して階段を選んだ。
「十分気をつけて…」
「オレはこの階段を行くぜ」
蔵馬、桑原、そして無言の飛影もそれぞれが選んだ階段の前に立ち、上っていった。
「長い階段だなあ…」
暗く長い階段を、恐る恐る上っていく未来。
しばらくすると光が見えてきて、たどり着いた先の部屋には…。
「幽助!」
金髪頭のヤンキー風の男の側に、幽助が立っていた。
「未来、下手に近づくな!こいつの能力は影(シャドー)!影を踏んだ相手の動きを封じることができるんだ!」
「なんだと?」
幽助の叫びに呼応するように部屋に入ってきたのは飛影。
ほぼ同時に階段を上り終えた蔵馬と桑原も現れた。
「そういうこと…。オレは城戸亜沙斗。能力名は影(シャドー)」
金髪頭が自ら名乗り出る。
彼に影を踏まれている幽助は、全く身動きがとれない状態であるようだ。
「でも次の相手はオレじゃない。浦飯さん、あの四人の中に一人だけ偽者がいます」
「な!?」
仲間の中に偽者がいる。
思わぬ城戸の発言に、皆が狼狽する。
「ウソ!どう見たって全員本物だよ!そんなに早く上手に変装できるわけないよ」
未来は反論するが、
「柳沢の能力は模写(コピー)。四人の中の誰か一人は確実に柳沢が化けています」
城戸は自信たっぷりに主張する。
「浦飯さんは10分以内にその偽者を見つけて下さい。他の四人は浦飯さんからの質問に答えるだけでいい」
「フン。そんな回りくどいことをせんでも、今この場で貴様を倒せばいい話だろ」
「分かってないなあ」
一歩進み出た飛影に、白々しく溜め息をつく城戸。
「四人の中に偽者がいるってことは、本物が一人つかまってるってことですよ…。オレに何かすれば仲間が本物を殺します」
すなわち、幽助が偽者を見つけるしかすべはないということ。
(私は本物だし…。蔵馬か飛影か桑ちゃんが偽者!?)
三人の顔を順にまじまじと見つめる未来だが、とうてい誰もが偽者とは思えないのであった。