long dreamA


□波乱の幕開け
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「負けた…。ボロ負けした」


予想はしていたが、当然のように未来はゲームに負けた。


「ちぇっ。もうちょっと手応えある相手だと思ったのにな〜」


つまらそうな少年は、ゲームを傍観していた飛影を見てあることを思いつく。


「そうだ!ハンデをあげるよ。二対一でやるモードもあるから」


「ハンデだと?何様だ貴様…」


「飛影、やろう!」


ゲームにのめりこんできた未来は飛影を制し、受けてたった。


「そうこなくっちゃ」


飛影に操作方法を教える未来を見、少年は満足そうに、不敵な笑みを浮かべた。


「次はもうちょい点をとるよ!」


やる気な未来が、理解不能といった表情の飛影だが。


(強いヤツと戦うのが好きなのか、未来も)


彼なりに解釈する。


まああながち間違ってはいないだろう。
未来とて、少年とのゲームに楽しさを見出だしていたのだ。



・・・・



その頃、皿屋敷中では。


「オイ浦飯!なに帰ろうとしてんだよ!」


放課後の夕暮れ時、帰ろうと校舎から立ち去る幽助を桑原は呼び止める。


「今日は竹センから補習があるって言われてんだろ!?」


「パス!かったりーんだよ」


担任の竹中から成績の悪さ故に放課後の補習授業に呼ばれていた幽助だが、サボる気満々らしい。


「ったく、せっかく奇跡の進級を果たしたっていうのにやる気もクソもねーな」


「奇跡の進級はオメーも同じだろ」


「プ」


二人が話していると、幽助の学生カバンにストラップのようにさげられたプーが鳴き声を出した。


「おいプー!外ではぬいぐるみのフリしとけって言ったろ」


しっ!と小声で幽助がプーを叱る。


「久々にパチンコ巡りでもすっかな」


「お気楽でいいな、テメーはよ。オレなんか霊力がなくなっちまったっていうのに」


肩を落として溜め息をつく桑原に、さすがの幽助も狼狽する。


「はあ!?どういうことだよ」


「全く霊感が働かねーんだ。もしかして鈴木にもらった妖具の副作用かと思ってたんだが」


その時、二人は校門で待ち構えるようにこちらを見ている学生三人組の姿をとらえた。

それぞれ異なる制服を着ている。


「浦飯幽助さんですね」


真ん中にいる金髪の目付きの鋭い男が尋ねた。


「ツラかしてもらえますか」


ケンカをふっかけてきた金髪頭。

両隣にいる背の高いホウキ頭と眼鏡をかけた男も、薄気味悪く笑っている。


「なんだコラ桑原和真様にゃアイサツなしかァ?」


「まーおさえておさえて。これでサボる口実ができたぜ」


桑原をなだめ、ニヤッと片方の口角を上げる幽助。

補習欠席の理由がケンカで通用すると本気で思っているのだろうか。


「どこでやるんだ?」


「そうですね…広い所がいいな。裏の原っぱなんかどうすか?」


「オーケー」


「おい浦飯!」


金髪頭と話をすすめケンカに乗り出す幽助を、桑原は止めようとする。


「久々にフツーのケンカしてみてーんだ。竹センにはまあ適当な言い訳つけといてくれ」


久々のケンカに血が騒ぎ、浮き足だつ幽助はそう桑原に告げ三人と共に去っていった。


「しょうがねえ野郎だ…。あいつの強さで並の人間とケンカするか?フツー」


「桑原くん!」


一人ぶつぶつ呟いていた桑原は、背後から下校しようとしているクラスメイトに名前を呼ばれた。


「竹中先生が探してたよ。早く来いだって」


「おお!そうだったな。サンキュー」


かったりい、と思いつつ桑原は校舎に戻る。


(浦飯のせいでオレは竹センとマンツーマン授業だぜ…)


補習該当者は幽助だけでなく、桑原もだったのであった。


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