long dreamA


□南野家へGO!
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春。


桜の季節の訪れと共に新学期が始まり、世間はどこかせわしない。


暗黒武術会が終わって1週間ほどたった土曜日、未来と幽助は皿屋敷市内のとあるケーキ屋を訪れていた。


「ケーキと焼き菓子、どっちがいいと思う?」


ショーケースの中に並ぶ美味しそうなケーキと、クッキーやフィナンシェなどの焼き菓子を見比べ未来は問う。


「別にどっちでもいいんじゃね?」


「う〜ん、やっぱりケーキだと私たちも一緒に食べようとしている魂胆が見え見えだから、焼き菓子の詰め合わせにしよう!」


「…なんじゃそら」


半ば未来に呆れながらも、幽助は割り勘した分の代金を彼女に渡す。


「楽しみだね、蔵馬の家行くの」


ケーキ屋を出、未来は隣を歩く幽助に話しかけた。


戸愚呂と再会したあの悪夢の日にした、蔵馬の家へ行こうという約束。


それが今日めでたく果たされることになったのだ。


「まあ楽しみだけどよ…」


「どうしたの?なんか元気ないよ?」


浮かない顔で溜め息をついた幽助を心配し、未来は訊ねる。


武術会では見事優勝し、師匠である幻海は生き返り、奇跡の進級を遂げ…


幽助が気に病むことなど、何もないと思うのだが。


「いや、なんつーか…頂点を極めた者のむなしさってやつを感じてるのさ…」


フ、と目をふせ自嘲気味に笑うと、白々しくまた溜め息をついた幽助。


(カンペキ調子こいてる…)


武術会で頑張ってもらった手前ツッコまなかったが、未来の幽助を見る目は冷めていた。


「せっかく戦いから解放されたんだから、今度は勉強のことも考えたら?」


「なんだよ上から目線で…ってオメーオレより年上なんだっけ」


「そうだよ。蔵馬と同い年の高1…じゃないもう高2か…」


嫌なことを思い出してしまった、と未来の顔がず〜んと暗くなる。


幽助は少し上を見上げしばし思考を巡らすと、未来の悩みの根源をズバリ言うべく口を開いた。


「…オメー、向こうの世界でちゃんと進級できてんの?」


グサ。

幽助のセリフが未来を刺した音が聞こえた。


「だーっ!それ訊かないで!私の一番の不安!心の重石なんだから!」


1月以降ほとんど学校に行けなかったが、出席日数は足りているのだろうか。


進級できているかという不安だけではない。


もしや学校は休みすぎている自分の存在をないものとしていないか…と未来は心配していた。


めでたく元の世界に帰っても退学扱いされてたんじゃ、もともこもない。


「高校中退の未来に勉強についてとやかく言われても、説得力ねえよなあ」


「勝手に私が退学になった設定にすな!」


珍しく勉強という真面目な話題を持ち出しても、結局はおちゃらけた雰囲気になってしまう二人であった。


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