long dreamA
□莫逆盟友
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蔵馬の策略が成功した後。
「え〜先ほどの試合でリングが破壊されてしまったため、今からしばらく復旧作業に入りたいと思います」
休憩を宣言した小兎のアナウンスに観客からブーイングが起こるが、リングはとてもじゃないが試合ができる状況ではない。
トイレにでも行くのだろうか、戸愚呂弟が闘技場から去っていく。
「今だけはホッと一息つけるね〜」
束の間だが試合の緊張感から解放され、未来は腕を伸ばす。
「これ!ワシを忘れるな!」
「あ!コエンマ様!」
数分ぶりの再会を果たすコエンマと未来。
「飛影め…未来だけでなくワシも連れていけばよいものを…」
飛ばされた観客席から自力で戻ってきたコエンマは、飛影の寝顔を見て文句を言う。
「なんで飛影は寝ておるのだ?」
「黒龍波を使うと眠くなっちゃうらしいです」
疑問符を浮かべるコエンマに、雑な説明をする未来。
「つーかよ、次の試合…順番的にはコエンマが出るよな」
おずおずと幽助がコエンマが避けたいであろう話題を切り出した。
「で、相手チームは戸愚呂兄が出場するでしょうね…」
冷酷な事実をあっさりと告げる蔵馬。
「そ、そんな…どうしよう、コエンマ様、瞬殺されちゃうよ!」
焦る未来の顔色は真っ青だ。
「ったく、どこでなにしてんだ桑原は!」
怒鳴る幽助だが、不可抗力で死出の羽衣により消えてしまった桑原に罪はない。
「しょうがない。桑原の代わりを引き受けたんだ。ワシが出よう」
コエンマの衝撃の発言に、幽助、蔵馬、未来は、えっと言ったきり声が出なかった。
「十中八九ワシは負ける…だが幽助が戸愚呂弟に勝ち、未来が左京にどうにかして勝ってくれれば浦飯チームは優勝する」
「おい…コエンマ…」
「コエンマ様!ダメですよそんなの!」
己の命を犠牲にしてまでコエンマはチームに貢献しようとし、幽助と未来の声は震える。
「やれるな未来。ワシが戸愚呂兄に勝つ可能性に比べたら、人間である左京に未来が勝つ可能性は数百倍はある」
「コエンマ様…」
優しい眼差しで語りかけたコエンマに、未来は涙ぐんだ。
「―と言いつつ何持ってんだテメーは」
背中に備えつけられた脱出用ロケットのスイッチを握りながら話すコエンマに、幽助は白い目を向けるのであった。