long dreamA


□just for you
2ページ/7ページ


突如蔵馬の足下から出現した植物により、彼を囲っていた追跡爆弾は全て消し去られてしまった。


身長の高い彼の数倍の高さを誇るだろう、恐ろしく巨大な植物だ。


「魔界のオジギソウは気が荒い。動くもの、火気をはらむものには自ら襲いかかる」


「すごい…これが妖狐の力…」


“妖狐の姿になると、南野秀一の体では召喚できない強力な魔界の植物も呼べるんだ”


一昨日医務室にて蔵馬が言ったことは本当だったのだと未来は実感した。


「どうやら鴉、お前を敵として認識したようだ」


蔵馬の言葉に呼応するように、オジギソウは鴉を襲う。


鴉が反撃するも、オジギソウはより狂暴性を増したようにみえる。


「はんぱな攻撃は逆効果だ」


BANG!と試合前に鴉がしたように、蔵馬が自身の頭を撃つ仕草をした。


「ぐあっ」


ついにオジギソウは鴉をとらえ、ひだ状の葉で彼の体を包みこんでいった。


「思ったよりあっけなかったな。もう2、3分遊んでもよかったか」


あっという間に勝利を決めた蔵馬がつまらなそうに呟くと、オジギソウに背を向け歩きだした。


「よっしゃー!すげーぜ蔵馬!」


「さすが蔵馬!やったね!」


幽助と未来は蔵馬の勝利に歓喜し、イエーイ!とハイタッチを交わす。


「鴉選手戦闘不能とみなし、蔵馬選手の勝…」


リング外にふっ飛ばされていた樹里のアナウンスを遮り、爆発音が鳴り響いた。


オジギソウは燃え尽くされ、現れたのはマスクが外れた鴉のみ。


「誰が戦闘不能だと?」


「ちゃい!ちゃいます私の間違いです!」


鴉の怒りを買ってしまったのではないかと、怯える樹里は必死で訂正する。


「気に入ったよ蔵馬。ますます殺したくなってきた」


コオオオ…と鴉が息を吸い込むと、その黒髪は金色に変化し妖気は上昇していく。


「ス、超サイヤ人!?」


「奴は妖怪じゃなかったのか!?」


「口から体内に火気物質を集めてやがる」


またワケの分からんくだらんことを言ってやがると思いつつ、未来と幽助を無視して飛影が淡々と述べた。


「奴の体全体が爆薬庫みたいなもんだ。構えとけ。まきぞえをくうぞ」


ええ!?と特にコエンマが焦り、どこに逃げたらよいか分からず右往左往する。


(リングの外にいてもまきぞえをくうって…じゃあ鴉のそばにいる蔵馬はどうなるの…!?)


不安げに未来は妖狐蔵馬を見つめた。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ