long dreamA


□just for you
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蔵馬が妖狐に戻った。


爆撃の影響は避けられず銀髪の頭からは血を垂らしているが、その赤さえ美しさに華を添えているようにもみえる。


「あ、あれが蔵馬なのか…!?」


初めて妖狐を目にする幽助は、あまりにも普段の蔵馬とはかけ離れた姿に驚愕している。


「よかった…間に合って…!」


ギリギリのタイミングで蔵馬が妖狐となり、未来もひと安心だ。


鴉に圧倒的な実力の差をみせつけられていた蔵馬だったが、これで勝負はわからなくなった。


「火薬を司る支配者級(クエストクラス)の妖怪が相手では、今の南野秀一ではまだ歯が立たないな」


妖狐と南野秀一は二人とも同じ蔵馬である。


にもかかわらず、妖狐はまるで南野秀一が別人であるような言い方をする。


「まだ…?負けた時の言い訳か?妖狐のお前も人間のお前も私には勝てない」


鴉は無数の追跡爆弾(トレースアイ)を攻撃へ向かわせる。


羽が生え球状の体の中心に目玉がある、生き物であると同時に爆弾である代物だ。


(蔵馬の目の前で奴の“好きなもの”を殺してやるか…)


華麗に避けていく蔵馬の目を盗み、鴉は数個の追跡爆弾をリング外の未来の元へと向かわせた。


だがすぐさま蔵馬は不自然な動きをする追跡爆弾に気づき、薔薇を投げ突き刺してそれらが未来に近づく前に自爆させる。


「二度とこのようなマネはしないと誓え」


「ほう…妖狐の時のお前も未来への想いは変わらず、か?」


威嚇の意味をこめ鋭く睨みつける蔵馬を見、いまだ余裕綽々な鴉は小バカにしたように問う。


「私もそうだよ蔵馬…どんな姿になろうとお前を愛する気持ちは変わらない…」


攻撃の手は止めず、うっとりと鴉が呟いた。


(南野秀一では鴉にも勝てず、未来も守れない。だが妖狐のオレは違う)


鴉が創りだした爆弾が見える。避けられる。
スピードも妖力も今までとは比べものにならない。


妖狐である自らの強さに、蔵馬は大きな高揚感と興奮を感じていた。


同一人物ではあるが、南野秀一への優越感に浸ってもいる。


昔の姿に戻ると、妖狐としての強大な自我が芽生えてしまうのかもしれない。


「オジギソウという植物を知っているか?振動や接触、火気に反応して葉が閉じる南米産の多年草だ」


「園芸に興味はない」


バッサリと切り捨てた鴉は、追跡爆弾に囲まれ逃げ場を失った蔵馬の今後を案じニヤリと笑った。


しかし…


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