long dreamA


□決戦のとき
1ページ/4ページ


時刻は正午キッカリ。


「浦飯チームの入場でーす!」


審判樹里のかけ声と同時に、開いた重そうな物々しい扉。


「のこのこきやがってクソがー!」
「死ね死ね死ね死ねー!」
「お前らは今日までの命だぜー!」


幽助、蔵馬、飛影、未来の闘技場への入場と共に、観客達は罵倒を浴びせる。


「続いて戸愚呂チームの入場でーす!」


浦飯チームと反対側の扉から出てきた戸愚呂兄弟、鴉、武威。


「おい桑原と幻海はどうした?」
「戸愚呂チームも4人しかいねぇ」


異変に気づいた観客達は、ざわざわ騒ぎはじめる。


お静かに、と樹里がアナウンスした後、ルール本を読み上げる。


「大会ルールによりますと、決勝戦は一対一で戦うこと!5戦行い先に3勝したチームの勝利となります!どちらのチームも戦いによって死人が出ていない以上、5人選手を揃えていただかなければなりません!」


「審判さん!桑ちゃんはもうすぐしたら来ると思います!…たぶん」


最後に自信なさげな一言を付け加えた未来。


桑原はついさっき死出の羽衣によりどこかへとばされてしまったため、今は行方不明状態である。


「う〜ん、まあ桑原選手の件はおいておくとして、5人目の選手はどうしたんですか?」


樹里が首を傾けながら尋ねる。


「まさかアイツ逃げたんじゃねーだろうな」


会場を見回し、姿を現さない5人目を探す幽助。


その時、ゴゴゴゴ…と再度、戸愚呂チームが入場した扉が開いた。


「さ、左京!?」
「あいつ戦えんのか!?」


戸愚呂チームのオーナーの入場に、観客は疑いと好奇の目を向ける。


「私が戸愚呂チームの5人目、すなわち大将として出場しよう。戦うつもりはないがね」


一番見やすい場所で彼らの死を見届けたいだけだ、と左京は浦飯チームの面々の顔を眺め言う。


「先に3勝した方が勝利…私にまで試合がまわってくる可能性は、ゼロだ」


「それを聞いて安心した」


早くも勝利宣言をした左京のセリフに続くように、闘技場に現れた男が一人。


「コ、コエンマ様ぁ!?」


まさかの5人目の正体に、声が裏返ってしまう未来。


「本来我々霊界を統治する者は直接下界に関われん。しかし場合が場合だけにワシも参加せざるを得んだろう」


もったいつけた登場の後、真面目な顔で語るコエンマからは、5人目の選手としての責務を負おうという真摯な態度が感じられる。


(コエンマ様…)


幻海の死体をあずかってくれた時といい、しっかりして頼もしいコエンマの姿を目にする機会が最近多い未来は、感謝と感激の思いでいっぱいになる。


「もし万が一…ワシに戦う機会がまわってきたら…」


バッと背中のマントを翻したコエンマ。



「いつでも逃げる準備はできておるからな!!」



コエンマの背中には、『努力』の文字が刻まれた脱出ロケットが備えつけられていた。


(や、やっぱりコエンマ様はコエンマ様だナ…)


ガクーッとズッコケる未来と幽助、苦笑いの蔵馬と、はじめから期待しとらん、と冷ややかな視線をおくる飛影なのであった。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ