long dreamA
□悲しい結末
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(幻海師範…!)
未来は無我夢中で闘技場からホテルまでの道のりを走った。
この妙な胸騒ぎが、気のせいであってほしいと願いながら。
先程もらった前世の実、試しの剣、死出の羽衣を抱えた蔵馬も彼女の後を追いかける。
ホテルの玄関の前には、桑原、陣、凍矢、酎、鈴駒の姿があった。
「桑ちゃん!幽助は!?」
「さっき起きたと思ったら猛スピードで走ってあっちの森の中消えちまったよ。浦飯といい未来ちゃんといい、そんなに急いでどうしたんだ?」
聞き終わるやいなや、未来は桑原が指した方向へ走ろうとする。
「えぇ!?浦飯追いかけんのか!?アイツすっげースピードだったし追いつくのはキツイんじゃねーか!?」
桑原に背後から言われ、未来の顔がどうしよう…!と青ざめる。
「未来!」
その時、尋常ではない未来の様子から何か緊急を要するものを感じとった陣が、風を巻き起こした。
「オレの風が連れてってくれるっちゃ!」
風は未来の身体の周りを舞い、彼女を宙に浮かせ高速で森の奥へ運ぶ。
「陣!ありがとうー!」
届いているか分からなかったが、未来は精一杯後ろにいる陣に向かって叫びながら、飛ばされていった。
(幽助だ!)
しばらくすると幽助の背中が見え、風は彼が立ち止まると共にスピードを落としていった。
(幽助、なんで立ち止まったの?)
それは未来にもすぐ分かった。
幽助の隣に到着すると風もやみ、未来は地面に足をつく。
目の前に広がっている光景が信じられず、声が出なかった。
「遅かったな…」
出血し倒れた幻海の傍らに立つ戸愚呂が呟いた。
「月日とは無情なものだな。渾身をこめた幻海の最後の一撃、オレの皮膚すら傷つけることができなかった」
呆然とする幽助と未来の二人には、戸愚呂の言葉は耳に入ってこない。
ただ幻海…その一点のみを見つめていた。
「ばあ…さん」
「師範!」
棒立ちになっていた幽助だったが未来の声で我に帰り、共に幻海の元へ駆け寄る。