long dreamA
□悲しい結末
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―オレもお前も今が強さの最盛期だろうな。
時が止まればいいと最近よく思う。―
共に修行をする若い青年と少女。
―オレは怖いんだ。―
青年の言葉に少女は耳を傾ける。
―オレ達より強いヤツが現れることが怖いんじゃない。
そんな奴が現れたとき自分の肉体が衰えていたらと思うと怖いのだ。口惜しいのだ。―
ふたりは共に苦行に耐え強さの境地を目指した。
だからこそ青年は自らの心の内を少女には話すことができた。
―人間とは不便なものだな。―
しみじみと述べる青年。
少女は青年の悩みがさも大したことのないように、涼しくも優しい顔でこう言った。
―あんたが年をとればあたしも年をとる。
それでいいじゃないか。―
それはもう50年前のこと。
サングラスの下に隠れた青年の穏やかな瞳が変わってしまったとしても…
仕方のない月日なのかもしれない。
共に時を刻むことのできる幸せ。
少女と一緒に年をとり生きていけることがどんなに尊いか、青年は気づけなかったのだろうか。