long dreamA
□トリートメントはしているか
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戸愚呂!戸愚呂!…
闘技場では耳をつんざくばかりの戸愚呂コールが起こり、異常な盛り上がりをみせていた。
戸愚呂チームが入場するも、もう準決勝だというのに戸愚呂弟の姿はなく、戸愚呂兄、鴉、武威の三人だけである。
「弟は大事な用があってね。我々三人で相手をする」
戸愚呂兄の発言に、なめやがって、と眉間にしわを寄せる対する五連邪チーム。
第一試合に出場したのは、鴉だった。
…ボム!
鴉が触れるだけで、対戦相手の体で爆発が起こり、既に両腕は吹き飛ばされている。
「あ…う…やめてくれ…」
「そろそろ頭を消してやるか…」
マスクの下の口元は笑っているのかどうなのか分からないが、少なくとも鴉の目は感情の起伏がみられず、淡々と対戦相手を苦しめていく。
ボム!!!
今までで一番大きな爆発が起こり、相手選手は鴉により跡形もなく消え去った。
「な、何あの技…」
蔵馬と観戦に来ていた未来は、触れるだけで爆発を起こしてしまう鴉に脅え震える。
あんな奴と自分の大切な仲間が今後戦うのかと思うと、怖くて恐ろしくてたまらなかった。
第二試合は武威の出番だ。
彼はその巨体と同じくらい大きなオノを取り出し…
「蔵馬?」
その時、バッと蔵馬が未来の目を覆った。
「うわっ」
「ひえ〜」
聴覚からしか情報が入らず、肉体だろうか、弾力のあるものが切り裂かれた音の後、観客たちの悲鳴、ドボドボと何かが落下する音が聞こえる。
未来は目にしなかったが、そこでは今大会中、最も無残で残酷な光景が広がっていた。
武威が対戦相手の体をオノでバラバラにし、彼の肉片、目玉、骨…もろもろのモノが観客席まで飛び散ったのだ。
会場が落ち着くと、蔵馬も未来の目から手を離した。
「な、なぜあんなとてつもない奴らが戸愚呂に従っているんだ」
圧倒的な鴉と武威の強さに、五連邪チームの大将は衝撃を受ける。
「簡単なことだ。オレたち戸愚呂兄弟がもっと強いからだ。面倒だ三人でこい。オレに勝ったら決勝はくれてやる」
戸愚呂兄が挑発し、五連邪チームの残り三人は彼に攻撃をしかけるも…
彼の体の至るところから無数の鋭い木の根のようなものが生え、彼ら三人の体を貫通した。
生き残ったのは大将の青年と中年風の男だけだ。
「どちらか二人だけ生かしてやると約束しよう。さあオレにお願いしてみろ」
「ふざけるな誰がお前などに…ここでオレを殺さないといつかお前を殺しにいくぜ」
「たっ助けてくれ〜!たのむ命だけは」
大将は断ったが、中年男は命乞いをする。
「これで決まったな…」
戸愚呂兄がすっと手を伸ばした。