long dreamA


□美しい魔闘家鈴木
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「人は姿形の分からないものを恐れたり、それに惹かれたりしてあれこれ想像するものだ。神や悪魔が最も良い例ではないか。私もそういう存在になりたいと思っている」


リングは鈴木のオンステージと化し、彼は闘技場の中心で自分の野望を語る。


「私は宣言する!私が優勝したあかつきには、まず手始めに老いたる者は皆殺し!それに反対する者も皆殺し!私に従う者にのみ生きる権利を与える!」


「誰がお前に従うかよ!」
「バカ野郎ふざけんなー!」


聞き捨てならない鈴木の発言に、会場中から大ブーイングが起こった。


「未来、二人で恐怖神話を共に作り上げようではないか!」


「もういいや始めまーす!」


長ったらしい鈴木の話に飽き飽きした樹里がとうとう試合開始の合図を出し、会場にいる全員が内心彼女に感謝する。


「幻海、私の伝説の一ページにお前も入れてあげよう。“霊光波動拳の幻海は美しい魔闘家鈴木にコテンパンにやられました”とな。レインボーサイクロン!」


鈴木が放った七色の光の技が幻海に命中し、彼女は場外に飛ばされ壁に激突した。


「私はこれが美しい技の中で一番気に入っている!おやおやもう終わりかな?ほかの999の技もお見せしたかったのに」


カウントをとられる幻海を見、鈴木が残念そうに肩をすくめる。だが、どこか得意気だ。


瓦礫の山の中から現れ、リング上へ戻ってきた幻海。


「なかなかいい形の鼻をしているじゃないか。素顔の方が伝説を作りやすいんじゃないのかい?」


彼女の手には、鈴木ピエロのトナカイのような真っ赤な鼻が握られていた。


「き、貴様っ…!」


意表を突かれ、幻海への怒りから鈴木は青筋をたてる。


「前にも言ったが私は正義の使者じゃないからね。気に入らないヤツは容赦しないよ」


「師範、カッコいい!」


幻海を見つめる未来の目は、まるで死々若丸を見つめる若様ファンのごとくハート状態だった。


「お前の敗因を教えてやる。確かにお前はほかの妖怪たちの性質に合わせて武器を作ることに関しては天才的だ。だがそれを自分の強さと勘違いした。お前に比べたら死々若丸の方がまだ強かったよ!」


バッサリと言い捨てた後、幻海は一度未来の方を見、また鈴木に向き直る。


「強さだけじゃない。あの子に対しても、お前より死々若丸が何歩もリードしているんじゃないのかい?」


「黙れ黙れ黙れーー!!」


フ、と小バカにしたように笑った幻海に、完全に堪忍袋の緒が切れた鈴木。


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