long dreamA


□魔哭鳴斬剣
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「出た目はあたしだろう」


立っていたのは覆面選手だった。


(幻海師範!)


覆面の正体を知っている未来だが口止めされているため、声には出さない。


(あれ?でも師範の霊力がかなり弱まっているのは気のせいかな…)


「誰だ貴様は。前の奴とは違うだろう」


飛影も未来と同じことを思っていたらしく、覆面を問い詰める。


「前の奴は抑えていても凄まじい霊力が内在していた。顔は隠せても霊気はごまかせん」


「それはもう幽助に渡してきた」


覆面は幽助に最後にして最大の試練を与え、霊光玉を継承してきたのだ。


死々若丸はといえば、心底気に入らないという顔で覆面を睨みつけている。


「オレも見くびられたものだ。お前のそのちょこざいな霊力でオレに一戦交えようとは笑止千万!」


樹里の始めの合図で、刀を振り覆面に斬りかかる死々若丸。


「化けの皮はいでくれるわ!」


彼の鋭い居合いの連続攻撃を必死に避ける覆面だが、徐々に間合いをつめられていく。


「霊気はおろかスピードも並以下。とても前に見た覆面選手と同一人物とは思えんな!」


ヒュ、と布が切り裂かれた切れの良い音が響く。


覆面の中から現れたのは、小さな老婆こと、幻海だった。


「前の若い女じゃねー!」
「イチガキ戦の時の女と違うぞ!」
「きたねェぞ浦飯チーム!」


会場からは一斉にブーイングが起きるが、状況についていけていない者が一人。


「イチガキ戦の時の女と違うってどういうこと…?若い女?」


なぜ観客たちが騒いでいるのか分からず、疑問符を浮かべる未来。


「未来はイチガキ戦を観ていないから知らなかったね。イチガキ戦の時は、覆面選手は確かに幻海師範ではなく若い女性だったんだ。オレもその人が誰なのか知らないが…」


「えぇ!?誰なのその若い女の人は…」


蔵馬から覆面事情を聞き、未来は衝撃を受ける。


「審判見ての通りだ。奴等は覆面を利用し複数の人間を戦わせている」


死々若丸が審判樹里に浦飯チームのルール違反を指摘した。


『お静かに願います!今の状況について戸愚呂選手に説明していただきます』


“戸愚呂”

スピーカーから流れたその単語にブーイングの嵐はおさまり、また違った意味でざわめきが起こる。


「戸愚呂がなんで…?」
「どうして戸愚呂が説明すんだ?」
「しっ静かにしろ!」


未来たちとて例外ではなく、蔵馬や飛影も思いがけない戸愚呂の登場に、不可解そうに顔を見合わせる。


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