long dreamA


□死出の羽衣
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「ったくどいつもこいつもこの世紀の美男子桑原和真様に向かって〜!」


怒りがなかなか冷めそうにない桑原である。


「やるのはオレだ。あいつらの中じゃ一番歯ごたえがありそうだ」


そんな桑原は無視し、一歩前に出たのは飛影。


「ダメだよ飛影は!その傷で闘うべきじゃないよ」


飛影の右肩の深い傷を心配し、未来が止める。


「未来の言う通りだ飛影。オレが行こう」


「正直に言え蔵馬。お前、あの煙の秘密を聞き出したいんだろ」


蔵馬の裏に隠された目的を飛影は見抜いている。


「待てい!ああまで言われちゃ黙ってられん!あいつはオレが直々に折り畳む!」


失敗ヅラ発言が許せない桑原も乱入し、事態は三つ巴の争いへと発展した。


「…なら戦って決めるか。誰が次の試合に出るか」


「上等だ!」


「ほう…貴様、オレに勝つ気でいるのか?」


提案にのった桑原に、飛影は無謀だと言いたげに笑う。


「試合前にチーム内で戦うなんて…そんな本末転倒な」


「…ここは平和的に、ジャンケンで決めましょうか」


未来が飛影らに呆れていると、蔵馬が名案を出した。


「ジャンケン?なんだそれは」


一人ハテナマークを浮かべる飛影。


「えー!飛影ジャンケン知らないの!?」


「今までどうやって生きてきたんだよ!?」


自分たちが幼い頃から慣れ親しんできたジャンケンを知らないなんて…


と、未来と桑原は絶句する。


「決め事や勝負事をする時に使うものですよ。これがグー。これがパー。これがチョキ」


蔵馬が飛影に、実際に自分の手の形を変えて教える。


「で、グーはチョキより強くて、チョキはパーより強くて、パーはグーより強えんだ」


「……」


桑原が解説するが、表情から察するに飛影は覚えきれなかったようだ。


そんな飛影の様子を見、未来が口を開く。


「えっとね飛影。グーは石、パーは紙、チョキはハサミって考えるといいよ。ハサミで紙は切れるけど、石は切れないでしょ?」


ふんふん、と未来の説明を一生懸命に聞く飛影。


(カ、カワイイ…)


母性本能をくすぐられる未来である。


「初心者はグーしか出せねーんだ」


「桑原君!ウソを教えないよーに」


間違った知識を吹き込む桑原を蔵馬がたしなめる。


「…なんだそんなカンタンなことか。やってやるぜ。ジャンケンとやらを」


未来から説明を聞き終わり、妙に自信を持った飛影は開戦への準備万端といったところだ。


ボキボキ指を鳴らし、対戦相手の蔵馬と桑原を威嚇?する。


「ジャーンケーン…」


ついに、ジャンケンバトルの幕がおろされた!!


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