long dreamA


□逆玉手箱
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「どどどどうしよう!殺されちゃう!胎児にまで戻されちゃったら蔵馬に勝ち目はないよ!」


慌てふためく未来は、パニックに陥る。


リングの上は一面煙で覆われ、何が起こっているかは把握できない。


(結界を通り抜けられるのは私だけ…。私が蔵馬を助けなきゃ!)


思いたった瞬間、バッと煙の中に飛び込んだ未来。


「未来ちゃん!?」


慌てて桑原が未来を追いかけるが、結界に阻まれリングに入ることはできない。


「あのバカ…!」


飛影も未来を止めようとしたが、間に合わなかった。


魔性使い戦での出来事と今の状況がかぶる。


(…こういう時だけ、アイツはいやに俊敏になりやがる)


蔵馬の危機になるとなりふり構わず飛び出していく未来が、飛影は面白くなかった。


「どうすんだ!?未来ちゃん大丈夫か!?」


「大丈夫だろ」


先程の未来以上ともいえるほど慌てている桑原とは正反対に、飛影はやけに落ち着いている。


「なんでそう言えんだよ!?オレ達は中に入れねーから助けにいけねーのに…!」


「中には蔵馬がいる」


理由は当然だろ、とでもいうようにキッパリと言った飛影。


「まあ…そうだな!蔵馬が未来ちゃんを守ってくれるよな!」


飛影の一言が意外だった桑原だが、すぐに納得する。


リング上を見つめる飛影。
彼が未来が好きだと自覚したのは、つい先程の試合の後で…


そりゃあ自分が未来を守りたいという気持ちはあるが、 今の状況では蔵馬に任せるしかない。


蔵馬なら裏浦島が未来に危害を加えるようなことを絶対にさせないだろうと確信していた。


蔵馬と飛影。
二人はお互いの強さに絶対の信頼をおいているのだ。


それは蔵馬も飛影を認め、飛影も蔵馬を認めていることを意味する。


その関係はたとえ飛影が、蔵馬が未来に抱く感情を知ったとしても変わらないはずだ。


おそらく、だが…







「蔵馬〜!ってええええ〜」


蔵馬を助けるため飛び込んだ未来だったが、自分の身体が縮んでいくことに気づく。


(私もちっちゃくなっちゃうこと、忘れてたあ!)


幼児サイズになった未来は、無鉄砲な行動をした自分に呆れる。


(でもこの身体でも、胎児の蔵馬よりは大きいから十分守れるハズ…!)


ダボダボになった服を引きずりながら、煙に包まれた広いリング上で蔵馬を探す未来。


が、それらしきものは見つからず、代わりに遠くにいる、同様に幼児化してしまった審判樹里と目が合った。


お互い大変ですね、と苦笑いを交わす。


(コナン君になった気分…あ!裏浦島!)


未来は蔵馬を見つける前に、勝利を確信し高笑いする裏浦島を発見した。


(だとしたら、この近くに蔵馬が…)


煙をかき分け、キョロキョロと辺りを見回す。


蔵馬の妖気は小さくなりすぎており、妖気を探ることは未来にはできなかった。


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