long dreamA


□奇美団子
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死々若丸が投げたサイコロが示した目は…


飛影、魔金太郎の二人。


「小細工が裏目に出たな」


「ケッ 口先だけのチビスケが」


不敵に口元に笑みを浮かべる飛影と、唾を吐き出した魔金太郎。


お互い相手を見下している。


「始め!」


「さあどこからでもかかってきな。おチビちゃんよォ…」


樹里の合図で開始した試合。


ニタニタ笑う魔金太郎の目に、すっ…と剣を取り出した飛影の姿が映った。


「剣か。面白い」


これから飛影がどんな攻撃を仕掛けてきても、一蹴できる自信が魔金太郎にはあった。


飛影は剣を取り出しただけ。


少なくとも魔金太郎にはそう見えていた。


「…勝負あったな」


「蔵馬?」
「ん?」


呟いた蔵馬に、隣の未来と桑原はハテナマークを浮かべる。


ポタ…

その時、飛影の剣から滴る赤黒い血と、彼と向かい合う対戦相手の無惨な姿に未来は息をのんだ。


「ケケケどうした?びびって小便でももらしたのか?」


「めでたい奴だ。気づきもしなかったのか」


飛影はその鋭い目で何も知らない魔金太郎を見据える。


「なにをわけわかんねぇこと言ってやがる!?さあかかってきやがれ!」


「もう行った」


平然と言った飛影の片手には、切断された魔金太郎の左腕が握られていた。


「!! あああああ!!」


今さらながら悶え苦しむ魔金太郎。


飛影はそんな魔金太郎に背を向け、ポイッと彼の左腕を放り投げる。


「おのれェエ 、貴様よくもォォオ!魔唆狩拳!」


魔金太郎は右腕の形を鉞に変化させ、油断していた飛影に襲いかかる。


「殺った!」


真っ二つに切り裂かれた飛影の姿に、魔金太郎は喜ぶ。


だがそれは…



「残像だ」



そう。残像にすぎなかったのだ。


飛影は魔金太郎の脳天から剣を突き刺していた。


「…!」
「…!」


あまりにも一瞬の出来事に、驚愕の未来と桑原は大口を開け、並んで同じ表情である。


「さあサイをふれ。またオレが出る気がするぜ」


あっさり勝利をきめた飛影が死々若丸に命令する。


「…あまりいい気になるなよ」


再度サイコロがふられたのであった。


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