long dreamA


□Rainy Night
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怨爺と裏浦島においていかれてしまった未来。


「オイ、お前今ここで、当てた相手をパワーアップさせる気弾出してみろよ」


そんな未来を見、黒桃太郎が思い出したように唐突に言った。


優勝商品である彼女の品定めをしようといったところだろうか。


「お、いいなそれ!じゃあオレに当ててみろよ。死々若丸も見たいよな?」


魔金太郎が名案だと手を叩き、死々若丸に同意を求める。


「優勝商品の異世界から来た人間、ってのに一番興味持ってたのは死々若丸だもんな?」


「興味?」


黒桃太郎の発言を、勘違いするなとばかりに死々若丸は一笑する。


「武術会で優勝し、商品の女を手に入れたら名が上がる。目的はそれだ。未来も浦飯チームの奴等も、オレの名を上げるための踏み台にすぎん」


未来本人が目の前にいるにもかかわらず、平然と言った死々若丸。


「な…」


デリカシーゼロの彼の発言に、唖然とした未来は返す言葉も見つからない。


死々若丸が自らの名を上げるために利用しているのは、未来達だけではない。


同じチームの黒桃太郎達だって、死々若丸にとっては優勝するための手段のひとつでしかなく、仲間意識などまったく持ち合わせていない。


まあそれは、裏御伽チームのメンバー全員にいえることなのだが。


仲間歴が長い魔性使いチームなどとは違い、裏御伽チームはただの寄せ集めの集団でしかなかった。


「ホラ、さっさとしろよ!」


魔金太郎が早く聖光気を出すよう未来を急かす。


「や、やだ…」


「はあ!?」


断った未来に黒桃太郎はドスのきいた声を出す。


「だって敵をパワーアップさせるなんて、できるわけないじゃない。私、もう帰ります」


浦飯チームへの裏切り行為はしたくなかった未来。


逃げるように部屋を立ち去ろうとする。


「逃がすわけねーだろ」


がし、と黒桃太郎が未来の腕を掴む。


「離して…!」


黒桃太郎の腕は恐ろしいほど力強い。


未来の瞳に恐怖の色がみえた。


「…なあ黒桃太郎、今オレ達が考えてること同じだと思うぜ?」


ニヤリと傍観していた魔金太郎が笑う。


「ああ。レストランでの件といい、 商品のくせして生意気な女には自分の身の上を分からせてやらねーとな」


ドンッ


「きゃっ」


黒桃太郎が未来を突き飛ばし、彼女の身体は近くのベッドにダイブする。


「楽しめそうだなこりゃ…」


押し倒される形となった未来を、上から魔金太郎と黒桃太郎はニヤニヤ眺める。


(や…)


見下ろされ、二人の影で暗くなる視界に絶望を感じる未来。
ガタガタと未来の身体は震え始めていた。


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