long dreamA


□Rainy Night
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レストランにいた最中、突如空を覆った雨雲。


とうとう晴れないまま、辺りはすっかり夜である。


(…すっかり帰るタイミングを逃してしまっている…)


ソファーに座り考える未来。


浦飯チームの部屋、404号室にあるソファーではない。


未来が今いるのは905号室。


そう、裏御伽チームの部屋である。


「暇じゃ。サウナでも行くかの」


「あ、じゃあオレも」


立ち上がった怨爺に、裏浦島も続く。


「私も帰…」


「未来」


彼らと一緒に部屋から出ようとした彼女の名を呼んだ怨爺。


「もう一度言うが、明日の試合で死々若丸が出場する時は用心せい」


「はあ…」


意味深な怨爺の発言に、未来は首をかしげる。


「明日は、未来お墨付きの飛影が負ける瞬間を見ることになると思うぞ。ハンカチも用意しておくことじゃ」


レストランでの一件を思い出し、怨爺は笑って目を細める。


「飛影は勝ちますよ!黒龍波なんてすごい技を使えちゃうんですから!」


「お前、飛影の右腕のことしらねーのか?」


怨爺に食ってかかった未来だが、背後からした黒桃太郎の言葉にそちらを振り向く。


「右腕…?どういう意味?」


「めでたい奴だな。この分だと、飛影の深手にほかの浦飯チームの奴等も気づいていないだろう」


死々若丸がフ、と浦飯チーム全員を嘲笑う。


「奴は是流戦で右腕を犠牲にした。黒龍に食われたな」


食われた、という死々若丸から出た言葉に未来の背筋は凍りつく。


「魔界の炎を人間界で飼いならすには経験不足といったところか。奴は生来の邪眼師じゃない」


魔界の炎を召喚した飛影を回想しながら死々若丸が言った。


「黒龍波を使えねーあいつに勝ち目はないぜ!」


「黒龍波撃てなきゃ、飛影はただのチビ同然よ!」


ギャハハと黒桃太郎、魔金太郎が下品かつ豪快に笑う。


明日飛影を殺すことを考えると、おかしくて仕方がないらしい。


(知らなかった…気づけなかった)


未来は唇を噛む。


敵チームに飛影の危機的状況を教えられたことが悔しかったし、気づけなかった自分に腹がたった。


たしかに、是流戦直後に見た飛影の右腕は真っ黒で痛々しかった。


(飛影はずっとひとりでかかえこんでたのかな…)


未来はいてもたってもいられなくなり、早く浦飯チームの部屋に帰ろうと思い立つ。


が。


「あれ!?怨爺さん達、いつの間に行っちゃってたの!?」


怨爺と裏浦島はとっくにサウナへ行ってしまっていた。


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