long dreamA
□潜入!裏御伽チーム
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「浦飯!って、なんだその頭の上のマヌケなヤツは!!」
幽助の頭上を指差す桑原。
帰ってきたのは飛影ではなく、不機嫌そうな顔をした幽助だった。
ぶ厚い本を手にして、頭の上には鳥に似た得体の知れないモノをのせている。
未来は帰ってきたのが飛影でなくて、ほっと胸を撫で下ろす。
会いたくなかったわけではない。
ただ今飛影に会っても、どんな顔をしたらいいのか分からなかった。
「もしかしてコエンマ様が言ってた霊界獣の卵から孵化した子!?可愛い!おいで!」
「プー!」
霊界獣は未来が手を広げると、彼女の元へパタパタと飛び、おとなしく頭を撫でられる。
「キミ、名前は?幽助につけてもらった?」
未来が霊界獣に尋ねた。
「プー」
「プーちゃんっていうのかあ」
「…名乗ったわけではないと思いますけど」
ただの鳴き声だろ、と心の中でつっこむ蔵馬。
「ぎゃははははー!!コイツがお前の分身かよ!!」
「笑いすぎだぞ桑原!」
コエンマとぼたんにも相当笑われてきたらしく、ご機嫌ナナメな幽助である。
「そうだ未来、コエンマからこれ預かってんだよ」
「プ」
幽助が未来との距離を縮めると、プーはまた幽助の頭の上に舞い戻った。
「よっぽど浦飯の軽い頭の上が気に入ってんだな!!」
「頭の軽さはテメーといい勝負だコラ」
笑い続ける桑原に、カチンときた幽助は拳を握る。
「コエンマ様から預かったものって、この本?」
未来は幽助から手渡されたぶ厚い本を眺める。
“霊界重要参考人”と表紙に書かれていた。
「これまでに霊界と関わった前科持ちの奴の名前と写真、プロフィールなんかが書かれた本らしいぜ。コエンマに、未来に渡してくれって頼まれた」
「なんで私に?」
「オメー明日、敵チームにスパイとして潜入しなきゃなんねーだろ?敵チームの奴等がこの本に載ってるかもしれねーから見とけってよ」
「なるほど…」
未来はパラパラと本をめくる。
「あ、犯罪者だけじゃなくってさ、歴代の霊界探偵も載ってるよ!ほら、幽助も!」
未来が広げたページには、幽助の顔写真と四聖獣を倒したなどの功績が記載されている。
へ〜と幽助も興味深そうに本を覗きこむ。
「これまでの霊界探偵の人たちは…。真田黒呼、仙水忍……幽助の先輩だね!」
次に未来が開いたのは、犯罪者のページ。
「蔵馬と飛影も載ってるぜ。霊界から三大秘宝を盗んだってよ」
ニヤニヤしながら幽助が蔵馬を見る。
「あ」
はた、と未来が目をとめたのは、“四聖獣・朱雀”のページ。
「朱雀か。アイツもやっぱ載ってんだな」
昔の強敵を思い出す幽助。
(…目の保養になるな…)
顔写真つきの霊界重要参考人という本をくれたコエンマに、改めて感謝する未来なのであった。