long dream@
□霊界トップ!酒界トップ!
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「幽助!やっと起きたの!?」
「ああ、よく寝たぜ。テメー、オレらの前で未来を口説くたあ、いい度胸してんじゃねーか」
未来に返事をした後、ぶっ飛ばした青年にガンをとばす幽助。
寝起きなので機嫌が悪いらしい。
倒れていた青年が殴られた顔をさすりながら体を起こす。
「イテテテ…幽助!自分が何をしたか分かっておるのか!?よくも霊界トップであるこのワシを殴ったな!」
「うるせー!って…。その口調とおしゃぶりはもしかして…」
幽助はまさかと思いつつ青年の正体に勘づいた。
「コエンマ様ーー!」
闘技場に入ってきた青鬼…ジョルジュ早乙女である。
「コエンマ様ぁ、大丈夫ですか!?」
涙ぐんだジョルジュが青年に駆け寄る。
「大丈夫もクソもないわ!幽助、お前を霊界裁判で訴えるぞ!」
キッ、と幽助を睨み付けた青年…もとい、コエンマ。
「ええええええーー!!」
未来は目の前の青年がコエンマであることが信じられず、驚きの声をあげる。
口にしたおしゃぶり、額のJr.の文字からすれば、確かにコエンマだ。
「可愛い赤ちゃんだったコエンマ様が…」
未来は美形コエンマに見惚れるというよりも、驚きでその顔を穴が開くほど見つめた。
「はっはっはっ カッコいいワシもいいだろう!」
「ギャップ萌え、っていうやつですね〜」
すかさずジョルジュがコエンマに合いの手をいれる。
「2ヶ月ちょっと前はあんなに小さかったのに…急成長しましたね」
「フ、毎日牛乳5リットルくらい飲んでたからな。…って違うわ!成長期だったわけではない!これは人間界バージョンだ!」
勘違いも甚だしい、と未来にコエンマは声を荒げる。
「ノリツッコミか、すごいなあ〜」
マルチな才能を持つコエンマに感心するジョルジュ早乙女。
「……」
幽助はそんな3人のかけ合いに脱力していた。
「おいコエンマ、何しに来たんだよ」
邪魔だと言いたげな目でじろりとコエンマを見る幽助。
「お前の霊界獣の卵の件もあるし、未来が心配だったからな。浦飯チームのオーナーとして、試合を近くで見に来たのだ!」
「オーナー?」
初耳の言葉に、未来は首をかしげる。
「なんだ未来、知らないのか。各チームには一人ずつオーナーがつく。だいたい人間の金持ちばかりだな」
あそこにいるぞ、とコエンマがオーナー達が観戦しているVIP席を指差す。
未来がVIP席にいる人間を見ていると…
「!?」
黒い長髪の男と目が合い、ニヤリと意味ありげに笑われた。
冷たい、生気のない目をした男だった。
(なんだろ、あの人…)
未来は後にこの男こそ戸愚呂チームのオーナー、左京であると知ることになる。
「もしかして補欠の制度も知らないのか」
呆れ顔のコエンマ。
「その制度なら、あの人を見たらよく理解できるんじゃないですか。百聞は一見に如かず、ってね」
蔵馬の言う“あの人”とは、リングに立つ六遊怪チームの選手。
「おい、オレは待ちくたびれたぞ!」
酒瓶を手にしたその選手が叫んだ。