long dreamA
□スリーセブン
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「びびらせて勝とうっての?セコイね。そんな嘘には騙されないよ」
蔵馬の発言に驚き反応が遅れたものの、一笑する天沼。
「ゲー魔王が負けると画面にはっきりと“死ぬ”と出る。こういうゲームは意外に少ない。そして君の能力は忠実にゲームを再現する」
ゲー魔王は死んだ…
そして街に再び平和が訪れた
蔵馬の言う通り、ゲームをクリアするとゲー魔王の死を明言するテロップが表示される。
「断言してもいいが、君はゲームバトラーで能力を使うのは初めてだ」
「確かにそうだけど…それはこのゲームの相手が七人も必要だからさ。他のゲームじゃ別に何ともなかったぞ。未来とやった時だって」
「多分君は今までエンディングやプレー中に死を暗示する様なゲームはやってない。それとなく仙水に止められているはずだ」
お前の能力は体力と精神力を異常に消耗する。
いざという時のためにオレの命令以外にその能力は使うなよ。
尤もらしい理由をつけて、天沼が仙水から命令時以外での能力の使用を禁止されていたことを蔵馬は言い当てた。
「待てよ蔵馬、天沼はオレたちと命のやり取りをする気はないんだろ。いくらなんでもそんなガキが命がけでゲームをやってるとは思えねーぜ」
「幽助、その通りだ。天沼本人にはその気はない」
天沼は知らなかった。
自分の能力の恐ろしさを。
「結論を言う。仙水は目的のために君を犠牲にした」
蔵馬が天沼に告げたと同時、ゲーム開始のブザーが鳴った。
(そんな…)
ひどい。
ひどすぎる。
捨て駒として年端もいかない子供を利用した仙水が、未来は許せない。
衝撃やら仙水への怒りやら、諸々の感情が押し寄せて彼女は俯き身体を小刻みに震わせる。
(未来…)
飛影が未来へ伸ばした指先は、所在なく宙をさまよった後、空を掴み下ろされる。
どういう類の言葉をかけてやればよいか分からず、迷った末に飛影は沈黙を選んだ。
慰さめるのも、励ますのも、全部違う気がした。
「オレたちは何度でもコンテニューできるのに、天沼は一度負けたらそれで死んじまうのか。仙水はそれがわかっててこのゲームを…」
「さらに仙水は我々がそれに気づくことも計算した。利用されただけの天沼をあたし達が殺すことなどできないと考えてな」
あまりにも非情な仙水に唇を噛む幽助の横で、幻海が冷静に分析し述べる。
「だが蔵馬は天沼を倒す」
断定した幻海の言葉に、ビクッと未来が肩を跳ねさせた。
「だからこそ天沼に真相を話した。天沼の動揺を誘うためにな。そうしなければ時間内に天沼を倒せない」
幻海がそう言っている間にもゲームは進行し、増えない蔵馬のブロックとは対照的に天沼のブロックはどんどん積み上がってきている。
「最も残酷で卑怯な方法を蔵馬は選んだ。選ばざるをえなかったのだ」
黙々とゲームをする手を休めない蔵馬。
今、彼は何を思っているのだろう。