long dreamA


□スリーセブン
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「蔵馬、ゲームで勝算はあるのか?はっきり言ってオレは勝てねー」


格闘専門の幽助は対天沼戦では出る幕がなく、蔵馬に頼るしかない。


「みーとぅー…蔵馬、いけそう?」


頭脳派の彼にいちるの望みをかけて、おそるおそる尋ねる未来。


ここで最後の砦である蔵馬がノーと言えば、自分たちが勝つ可能性はゼロに等しくなる。


「わからない…いや」


蔵馬は何かを言うべきか躊躇しているようだった。


(蔵馬…?)


なんだか蔵馬がつらそうで、苦渋の決断を迫られているように見えたのが未来は気になった。


「未来」


そして、真っ直ぐ蔵馬に見つめられる。


既に蔵馬の顔は迷いを振り切っていた。


「ごめん」


瞼を伏せてそう告げると、蔵馬は天沼と対戦するべくコントローラー台へ向かった。


(何…この感じ)


なんだか胸がざわざわする。
すごく嫌な予感がする。


蔵馬の表情の理由も、自分に謝ったわけも、未来は分からない。


けれど、最悪なシナリオが待っているような気がして…不吉な何かを敏感に感じ取る。


「さ、次は何のゲームかな〜」


鼻歌まじりに天沼がスロットを回すと“パズル”“スリーセブン”“レベルG”の目が並んだ。


テトリスと似たいわゆる“おちもの”ゲームで、経験と集中力に勝負は左右される。


「うわ、こういうのオレ一番苦手だわ」


「たぶん南野は心理戦に持ち込む気だな。いかに相手の集中力を奪うかで勝敗が決まる」


苦い顔をする幽助の隣で、もう一人のブレーン・海藤が考察する。


「天沼くん…聞きたいことがある。ゲームバトラーで戦えと言ったのは仙水じゃないのか?」


「そうだよ。決戦に際してこのゲームが最もふさわしいってね。オレもこのゲーム得意だしさ」


やはり、と蔵馬は悔しさから拳をぐっと握った。


「君は仙水のやろうとしていることがわかっているのかい?」


「わかってるよ。魔界から妖怪がうじゃうじゃ出て大騒ぎになるんだろ?楽しいじゃん、学校もなくなるだろうし。オレは自分の領域(テリトリー)の中にいれば安全だしね」


「このゲームで君が負ければ、君は死ぬ」


あっけらかんと答えた天沼に、蔵馬が残酷な事実をハッキリと告げた。


「え…?」


未来のか細い声が発せられたのは、天沼が反応するより先だった。


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