long dream@
□死んだら?オドロいた
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「手短に言うとねえ、ここは未来ちゃんがいる世界とは別の世界なんだよ」
「べ、別世界…!?嘘…!」
いきなり非現実的なことをぼたんから言われ、混乱する未来。
「嘘じゃないさ。なんかの拍子に出来た空間の切れ目に入っちゃったんだよ」
「ぐふふふふ…」
「ひひひ…」
ぼたんが話す間にも、近づく狂人達の声。
「また奴等が集まって来たな」
「未来ちゃんに反応してるんだね…」
幽助と共に冷や汗を流していたぼたんだったが、思い出したかのようにポンと手をうつ。
「おっと早く虫笛を壊さなきゃいけないんだった!幽助!時間がないよ!今すぐ未来ちゃん連れて妖魔街の迷宮城に行っとくれ!」
「オメーアホか!?なんでこいつも連れてくんだよ!これから四聖獣と戦おーっつー危険なとこ連れてくのか!?」
「今の未来ちゃんにとってはここより妖魔街の方がよっぽど安全だよ!幽助、あんたが彼女についてるならね」
「まあ…そうか…」
ぼたんの言葉に納得する幽助。
そんな二人の掛け合いを、未来は呆然としながら見ていた。
別世界、四聖獣、妖魔街…
聞き慣れない単語が二人の口から次々と飛び出し、これは夢なのだとしか思えなかった。
「つーか桑原、オメーさっきから全然しゃべってねーけどどうした…」
「未来さんっ」
幽助が言い終わる前に、桑原が未来の両手をとり、がしっと強く握った。
(え…な、何?)
未来はとられた自分の両手と、桑原の顔を交互に見つめる。
「浦飯なんかに任せておけねえ!漢・桑原!全力であなたを守ってみせます!」
「は…はい…」
展開についていけないながらも未来は返事をする。
「あらら、かわいいコ見るとすぐこれだね」
「桑原…オメーなあ」
苦笑いを浮かべるぼたんと、呆れる幽助。
「さあ!行くぜえ!」
そう言って未来の手を離した桑原は、今までにないほどのやる気に満ち溢れていた。
未来は考えていた。
(夢なら痛みや感触は感じないはず。今つかまれた手…力強くて、やけにリアルだった。本当にこれは現実で、私が別世界に来たっていうのも事実なのかも…)
「あの!」
未来は三人に呼びかける。
「言いそびれてたけど、さっきはありがとう。助けてくれて」
これが夢だろうが現実だろうが関係ない。
彼らにきちんと向き合うべきだと思った。
言わなければならないことは、きちんと伝えなくては。
私と、三人を含めこれから出会うたくさんのみんなとの物語は、ここから始まったんだ。
そして、私の…
運命の人との。
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