壊してしまおうか
□ルービックキューブ
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[君の目と耳がどっか行っちゃったから]
なんとなしに彼は気づいていた。
自分の彼女に対する気持ちが。
でも、それを認めるのを彼は拒んだ。
嘘と偽りだけで自分を作ってきた彼がそれを認めるのを辞さなかったのだ。
彼は彼女を「友達」と称した。
それが彼にとっての解決策だからだ。
だけど、認めたくなくても、気持ちは変わらない。
そんな風に称したところで無駄なのだ。
彼は苛立ちを隠せないでいた。
自分の持つ恋慕の感情や、嫉妬の感情を。
彼女はとある男子から、想いを告げられ、そんな彼女の心も次第に彼へと向いていく。
そんな在り来たりな展開。
平穏な日常。
彼、勇馬はそれを愛していたはずなのに、このときばかりは嫌悪感を隠しきれないでいた。
「幸せすぎる。ああ、なんて妬ましい」