壊してしまおうか
□死にたがり
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ビックリした。
背筋が凍って、僕はその場から動くことができなくなった。
恐る恐る、振り返ってみればそこに、絶対に関わりたくは無かった男子が立っていた。
鬼束 磊(おにづか らい)くんだ。
彼とは関わる事のないように生きていくつもりだった。
なぜなら、彼は授業をサボったり、遅刻したり、他校の生徒と喧嘩したり、
とにかく大騒動を引き起こすからだ。
そんな人間と関わったらとにかく良い事なんて待っている訳が無い。
僕は殺されるかもしれない…
僕は生きたくもなければ死にたくもない。ただの弱虫だ。
そんな僕に話しかけてきて一体どういうつもりなんだろう?
ただ僕は目を合わせるのが怖くてひたすら地面を見つめていた。
何も言ってこないと解ると、彼は口を開いた。
「お前いっつも地面ばっか見てるよな。楽しいの?それ」
僕は返す言葉が見つからず困った。
何か返さなければいけないのに、喉が詰まって上手く言葉が出てこない。
でも、何か言わなければいけない。じゃないと殴られる。
だから僕は混乱してばかりいる思考を中断し、とにかく彼の機嫌を損なわせぬよう、答えを返した。
「た、楽しいよ」
声が震えていたかもしれない。けど頑張って声を出す。
依然目だけは地面に吸い寄せられていたが。