壊してしまおうか
□死にたがり
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そして、あの始業式から1か月が過ぎた頃。
僕はまだいじめを受ける事なく平和に生活していた。
何もできない僕はついに人から見られる事もなくなった。
今の僕は透明人間の様だ。誰からも話しかけられる事もなく、
ただ一人だけ、浮いてるような存在。
でも、それでよかった。それで充分だった。
僕は今平和だ。みんな僕に目を向ける事もないし、いじめもないし。
そう思うとまるで何かから解放された気がして、安堵した。
見られなくてもいい。辛い思いをしないならそれでいい。
このままいじめもない生活をしたい。
コレが僕の願いだった。
家に帰ると、親の第一発言はまず決まって「勉強しなさい」だ。
これはどの家庭でもそうだろう。僕はいつも通りそれに従って、
自分の部屋に閉じこもり、黙々とただシャーペンを動かすのだ。
でも、勉強したって意味が無い。僕は馬鹿だから。
でも反抗しても意味が無いのでしない。というより、僕に反抗期など訪れるはずもないのだ。
だって、僕に反抗する勇気なんてない。
生きてる意味も解らず、どうやって反抗しろっていうんだろう?
かといっても、自殺する勇気すらないんだけれど。
そうしていじめの無い平穏な日々を過ごして2カ月過ぎた頃—―
ある日の放課後の時だった。
いつも通り、荷物をまとめて帰る準備をしていた時だった。
「おい、犬塚(いぬづか)」
いきなり後ろから呼びかけられた。