☆捧げ物&頂き物☆

□私と僕達の記念日
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「なんで!?」

「なんでだろうね?」

「いやいや…まさかのヒーローの人もありなんですか…!」

三人目は獣電戦隊のブラックこと、イアンがレッドに変わり七海のことを抱きしめていたのだ。

「呼んでくれてありがとう。」

「あ、別に呼んでないです」

「可愛くて美しい君に似合うような花を選んだよ。」

イアンが七海を抱きしめることをやめて、どこから出したのか、いつの間にか花がイアンの手元にあった。
そしてそれをまた3輪渡された。

「さくら?」

「ううん。
その花は桃の花。
桜のよく似てるから間違われるんだけどね。
ちなみに、花言葉は…貴方に夢中。」

そう言うと、イアンは七海の右手をとって、手の甲にキスを落とす。

「…ちょちょちょ…ちょっと!」

「え、なに?」

「なにじゃなくて!
さっきからみんな何!
いや、何って・・なんなんだ!」

「夢だって思えば?」

「随分と生々しい夢だなオイ!」

「今は七海と俺だけの時間だよ。
楽しもう?
ほら、俺のことだけ考えてよ。」

「わかったわかったから!」

「冷たいなぁ、まぁ照れる七海も俺は好きだよ。
…もう行かなきゃか…じゃ、また。」

「ちょっと待って!!」

「ごめん、話なら次の人にバトンタッチして。」

「次の人って・・?!」

「じゃ、そーゆうことだから。ごめんね。
キョウリュウチェンジ!」

「ちょ、ここで変身すんの?!
てか眩しいんだけど!!」

イアンのチェンジの仕業であろう眩い光は七海の目を眩ませることになった。
光が消えたと思い、目をゆっくり開けるとまた新たに人が立っていた。

「やぁ、僕は燭台切光忠。
君に会えてうれしいよ、よろしくね。」

「み、光忠・・さんだ。」

4人目は、刀のオンラインゲームの燭台切光忠だった。
前の3人とは変わって感情表現がわかりやすく、心の底からとても嬉しそうな顔をしている。

「そうだよ!
ごめんね〜、いきなり現れちゃって。
ビックリしたでしょ。」

「ビックリというかもう・・これ夢なのわかってるので。」

「残念ながら夢じゃないかもしれないんだよね〜」

「はい?」

「僕とあと1人は、ここにいれる時間が長いから僕が説明しちゃうね。
僕たち5人が君に会えたのは今日が君の誕生日だから。
ただそれだけが理由ってワケじゃないんだけど・・普段、七海ちゃんが頑張ってるの僕たちは知ってるから。
それで会いに来たんだ、今日だけわずかな時間だけど。」

「べ、別に頑張ってないですよ!」

「えー頑張ってるじゃない。
なんだっけ、英検?合格したし・・それに今年受験生でしょ、頑張って。」

「・・はい。」

「僕は、七海ちゃんの一番じゃないかもしれないけど君を想う気持ちは誰にも負けないって思ってるよ。
僕がずっと応援してるから、頑張ってね。」

ニコニコしてポンポンと七海の頭を撫でながら優しく話す光忠は、なんだか母のように感じだ。

「はい、じゃ、僕からのプレゼント。」

「あ・・ありがとうございます。
ピンクの花じゃない・・」

「うーん・・ごめんね。
みんなピンクの花なのに僕だけ違い色になっちゃって。」

光忠がくれたのは、先ほど貰った花たちとは違って、黄色に近い色の花だった。
光忠は、3輪の花をくれるのではなく何本か植木鉢に咲いている状態でプレゼントをしてくれた。
植木鉢なら花も育てやすいし水を上げやすい。
そのことも含めて考えて贈り物をする、という光忠の気遣いに心温まる。

「その花は、ツキヌキサイコ。
現代の言葉でいえば、ブプレウルム。
花言葉は・・はじめてのキス。」

「はじめての・・キ、えっ!?」

「君のこと、大好きなんだ。僕は。」

「ちょ、それはヤバイ!
光忠さん、それはヤバイです!!」

「何が?」

「何がって・・」

「別にキスくらい減るもんじゃないよ。」

「減ります、私の寿命が」

「うまいこというね。」

「別にうまくないだろ!!」

「ほら、ジっとして」

光忠は素早い動きで七海の隣まできて頬にキスを落とした。
あまりにも一瞬であまりにも突然だっため、すぐにキスされた本人は、反応はすぐにできなかった。

「わっわわわわわっ・・!!」

「楽しい時間ありがとうね。
それじゃ、僕もう時間だから。
その花、大切にしてね。」

「ちょ・・光忠さん!!」

「じゃーね七海ちゃん。
あ、ちょっと後ろ向いてくれるかな?」

「後ろ?」

言われるがままに後ろを向いてみる。
別に後ろを向いても誰もいなければ、何もなかった。
光忠の話によればあと1人、自分の目の前に誰かが現れるらしいが・・誰だろうと考えていると腰に鈍い痛みが走る。

「いっ・・た。」

なんだ、と思って腰をみてみると、

「ねーちゃん、誕生日おめでとう。」

「き、金ちゃん・・!?」

テニス漫画の遠山金太郎が最後の1人だった。

「ワイ、ねーちゃんに会えて嬉しいわー。」

七海にとって、遠山金太郎という人物は最愛の人だった。
どんなキャラより俳優よりも大好きで毎日金太郎のことを考えていた。
そんな金太郎が目の前にいるなんて考えもしないし、思いもしない。

「わ、私も嬉しい。」

「ホンマ!?
前の4人よりも?!」

「前の・・いや、前の4人もすごく嬉しいよ。
だって私の好きな人ばかりなんだもん。」

「えー、ワイ一番じゃないん?」

一番、そう言われて先ほど光忠に言われたことを思い出した。
「僕は、七海ちゃんの一番じゃないかもしれない」という言葉。

「・・まぁ、金ちゃんは一番好きなキャラなんだけど・・。
祝ってくれたみんなの気持ち考えたら、順位とかつけられないかな・・」

「ふーん・・まぁええわ。
わい、大トリってヤツやしー・・はい、姉ちゃんにプレゼント。」

「また花?」

「ちゃう。
ダイヤモンドの指輪。ごっつぅ小さいけど本物やで!」

「え?!ダイヤモンド!?」

「まぁそれは冗談で本当は本物やないけどな。
さすがにワイもダイヤモンドとかごっつぅ高級品買えんし・・だから変わりに綺麗な透明な石見つけて作ってもらったんよ。」

「本物だったらビックリだよ・・ありがとう。」

「ちなみに、ダイヤモンドの宝石言葉は・・純潔って意味なんやて!
ワイようわからんけど・・白石に純潔は心が綺麗な人って教えてもらったんよ。
七海姉ちゃんにピッタリやんな、その言葉。」

「えっ・・純粋なの?私が?」

「多分やけど、七海姉ちゃんの心がきれいやからワイらは多分七海姉ちゃんに会いにこれたのかもしれんわ。
ワイもようわかっとらんけど・・今度会った時はたこ焼きおごったるさかい、楽しみにしとってな!!」

「うん、ありがとう。」

「それと、今までに貰ったその花は、4月12日の誕生花で、ダイヤモンドは誕生石やで。」

「え、そうなの!?」

「せや。
だから大事にしたってや。」

「そうするね。」

「ほな、ワイもう行くな。
また来年も会えたらえーなー・・」

「そうだね。
もう毎日会いたいくらいだよ。」

「ワイも。
・・じゃ、誕生日おめでとうな!
一年、また頑張ってな!」

七海に向けられた金太郎の満面の笑みはまるで天使かのように思えた。
天真爛漫な彼の行動は時に人の心を和ませる。

七海は金太郎の笑顔見ていると、突然睡魔に襲われた。
フラっとして視界が暗くなるのを感じた。



「・・ん?」

ハっと思って目を覚ますと、リビングのテーブルの上に突っ伏して寝ていたようだった。
誕生日の日にこんな良い夢をみられるとはなんとラッキーなんだろうと、我にかえって夢を思い出してみる。

夢であるだろうとは思っていたがなんだか残念な気持ちがこみ上げてくる。
もし、これが本当の出来事だったら、そう考えるだけで虚しくなってしまう。

「あー、良い夢だったな・・」

「あら、七海起きたの?」

「あ・・お母さん。おはよう。」

「おはよう。誕生日なのにベッドで寝ないで・・そう言えば、外に貴方宛てにプレゼントが置いてあったわよ。」

「え?誰から?」

「んー、きっと友達じゃない?
まだ玄関に置いてあるから、自分でとってきたら?」

「そうする!!」

イスから降りて、「もしかして」という気持ちに希望を持ちながら玄関へと向かう。
勢いよく玄関のドアを開けてみると、

見覚えのある9輪の小さな花束と、
小さな植木鉢に咲いている黄色い花と、
小さな指輪入れに入っている透明に輝く指輪が置いてあった。

 
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