☆捧げ物&頂き物☆

□私と僕達の記念日
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あともう数分で七海は誕生日をむかえる。時計の針は深夜12時近い所まで来ている。
七海は、自分の誕生日が来るのが待ち遠しくて深夜まで起きていたのだ。
別に日付が変わった時に特別誰かが祝ってくれる訳ではなかったが年に一度のこの特別な日はなんだか起きていたかったのだ。

暖かいココアをすすりながら、後1分で日付が変わる時に時計をじっと見た。

あと、30秒…20秒…10秒…と残り10秒、というときに椅子に座っているのにも関わらず、いきなり目眩に襲われたのだ。
あまりにその目眩が強烈で椅子から床に落ちてしまった。
しばらく床でうずくまっていると目眩はどんどん薄れていき、しっかり視界が見えるようになった。

「なに今の…最悪…」

床にうずくまっていたせいで、もはや日付けが変わった時間はとっくに過ぎていた。
そのどうしようもない自分の失態を七海は悔しくてやるせない気持ちだった。

「私が起きてた意味は…なに…」

なんだか馬鹿馬鹿しくなって、リビングから自分の部屋に戻って寝ようとしたときだった。
誰かに肩を叩かれたのだ。

「うわっ!」

深夜、しかもあまりにも急だったので少し大きめの声で叫んでしまった。
慌てて後ろを見ると見たことある人物が立っていた。

「うるせぇぞ、今何時だと思ってんだよ。」

「なっ、ななっ…」

「あ?」

「な、なん…なんで…黒尾が黒尾鉄朗が…」

「はぁん、俺先輩なのにしょっぱなから呼び捨てかよ。」

「いやちょっとまて、なんでここにいる!」

「なんでだって?
お前が呼んだんだろ。」

「なに言って…いつ私がそんな…」

アニメ・漫画のキャラクターがなんで自分の目の前に立っているんだ。
しかもその人物はあのバレーボール漫画にでてくる黒尾鉄朗。
七海の好きなキャラの1人。
なんで自分の家に、自分の目の前にいるのか…

「ま、ここで会ったのもなんかの縁だな。そら、受け取れ。」

「え?」

黒尾が七海に渡したものは、3輪程の見たことのない花だった。
桃色の花びらが少し小さい綺麗な可愛らしい花。

「えっと…黒尾さんこんなのすきでしたっけ?」

「俺の好みじゃねーよ。
お前に渡すために持ってきたんだよ。」

「え!?」

「そいつは露草っつてな。
花言葉は…たしか恋の心変わりだ。」

「あの、なんでその露草を私に…」

「なにってお前今日誕生日だろ。
だから俺からのプレゼントっつーわけだな。
ありがたく受けとんな、枯らすんじゃねーぞ。」

「あ、有難うございます!」

「よしよし。」

黒尾は、七海の頭を撫でながらカッカッと笑っていた。
なんで自分の目の前に黒尾がいるのかはわからないがとりあえず頬を赤く染めて喜ぶことにした。

「まぁ、本当はもっと七海と居たいところなんだけどよ、俺戻るわ。」

「戻る?」

「あぁ。
んじゃ、ちょっと目伏せてな。」

「え、あのちょっと…」

「はい、伏せる!」

「んぎゃ!」

無理矢理黒尾に頭を鷲掴みにされて頭ごと視界を下に向かされる。
なんとも乱暴なやり方である。

「あーもぉ、、何…」

そう思って目の前を見ると、

「……気づいた?」

「うわぁっ!」

「うるさい。」

「あ、ごめんなさい…。
てかなんで…貴方もここにいるの!?」

「俺?レッドだけど…」

「知ってますよ!」

次に目の前にいたのは、あの有名RPGゲームの主人公・レッドだった。
相変わらずクールな顔立ちで無口そうだ。
肩にはなんとピカチュウがいる。

「びかちゅー」

「…これ、本物ピカチュウ?
可愛い…」

「黒尾に会った?」

「ついさっき…」

「じゃ、話早いね。
黒尾から聞いてるでしょ、はい。
俺とピカチュウから。」

「何も聞いてないです。
でも有難うございます……また、見たことない花… 」

レッドとピカチュウから貰ったのは、またピンクの可愛らしい花だ。
これも黒尾と同じ3輪。

「それは、ピンクのカスミソウ。
花言葉は、感謝。」

「感謝…って、私レッドさんに感謝されることなにもしてませんよ!」

「うん。直接はね。
でも君、俺の事好きでしょ。」

「な、なん、なんでそのこと!」

「知ってるよ。
いつも俺のこと好きでいてくれて…ありがとう。」

「ピカピカ」

フッと笑ったレッドの笑みが綺麗だった。
赤い瞳がルビーのように輝いて自分の事を見つめる。
そしてその瞳がだんだん近づいてくるのがわかった。

「え、あのちょっと!」

「ありがとう。」

いつの間にかレッドに抱きしめられていたことに気がつく。
恥ずかしくてありえなくて頭がショートしそうだ。

「じゃ、俺行くね。
七海に会えて嬉しかったよ。」

「え、レッドさん!?
どうやって…」

「…じゃ…目瞑って。」

「は!?」

「はやく」

そう急かされるもんだから素早く目を閉じる。
まだ抱きしめまれたままで、レッドからの「いいよ」がないため、勝手にもういいかな?と思いこっそり目をあけてみる。
すると目の前はレッドの赤い服ではなく、黒い革ジャンのような服になっていたのだ。


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