☆捧げ物&頂き物☆

□ホップステップジャンプ
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「はぁ?俺のストーカー?」

拍子抜けた声で声が裏返る。
此処、氷帝学園男子テニス部レギュラー陣だけが使用できる部室で盛り上がっているのは例の岳人の追っかけの話だ。
この様子からみると、岳人は自分にストーカーと呼ばれるほどの追っかけがいるとは今の今まで気づいてなかったように思える。

「ホンマなんで岳人なんやろなぁ。」

「ストーカーですか・・向日さんも変な人に好かれましたね。」

「フン、激ダサだぜ。」

「俺には関係ないことですね。
いまこそ下剋上のチャンス・・。」

「ストーカー・・そんなヤツ1人も見掛けなかったけどな。
つーか、俺にストーカーとかクソクソ上等だぜっ!」

「今日も学校にいるんじゃないですか?」

皮肉っぽく日吉は言うが、顔は少し笑いをコラえているように見える。
そんなにも向日にストーカーがいるのがおもしろかったのだろうか。

「跡部がどうにかして阻止してくれんだろ。
そんなくだらねぇーこと言ってねぇでトレーニングしようぜ。
な、長太郎。」

「どうでもいいじゃねぇよ!
クソクソ宍戸てめ・・ん?」

いよいよ喧嘩が始まるかと言う絶好で最悪なタイミングで向日の携帯がなる。
どうやら電話のようで相手は跡部のようだ。ストーカーの件ではないかと向日はとっさに電話にでる。

でた瞬間、聞こえたのは、

「がくとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」と叫ぶ蒼乃の声と、「てめっ返せおい!!」と奪われた携帯を必死に取り返そうとしている跡部の声だった。
電話はすぐに、ぶつんと切れた。
部室は何秒かの沈黙が続く。
徐々に向日の顔が青ざめる。
何かを恐れているように。

「あっ蒼乃だ・・やべぇ」

「はあ?」と声を漏らす宍戸。

「電話越しのやつ、俺の幼なじみ・・」

「なんで跡部さんといるんですか?」

「まさか岳人の幼なじみがストーカーの犯人なんてなぁ」

「ちょっと待て!
まだ俺の幼なじみが犯人って決まった訳じゃ「がくとぁぁぁぉぁぁぉぉぉぁ」ひっ!蒼乃なんでここに!」

ドアを突き破るかの勢いで飛び込んできたと思えば、なんとまぁだいたんな向日への飛び込み。
向日を除いたレギュラー陣はみな硬直している。
そんなことを気にせず蒼乃は向日に抱きつく抱きつく。
突然すぎて状況が把握できてない向日は混乱中であった。

「なんでここにだって?
フフフ愛の力だよ岳人!」

「は?!きもっ!お前なに言って、」

「キモい?岳人が私にキモいっていった!?ぶっちゃけありえな〜い!
てか理解できない!
そんな子に育てた覚えはありたせんよ!
まぁ、でも・・嫌じゃないかも。」

「蒼乃落ち着け離れろくっつくなばかっ!」

罵声を浴びせるが今の蒼乃にはそんなものはびくともしないわけだ。
いつの間に来たのか…身と精神がボロッボロの跡部が部室にいた。
なんというか凄く疲れきっている。
テニスの試合のタイブレークが長引いた時も肩で息をするくらいだったが・・

「跡部死ぬんやないで。」

「まだ死んでねぇよ。
あの女とんでもねぇぞ。」

「やっぱり変な人にすかれてますね、向日先輩。」と、鳳長太郎は向日を心配しているが相方の宍戸は同情の顔も見せない。

「お前一昨日会ったばっかだろ!」

「一昨日だよ?
一昨日ってことは昨日は会ってないのよ?
わかる?」

「うぜぇぇえ!ゆーし助けて!!」

「あー新技完成させな・・」

「ゆーしテメェぇぇぇ!」

「がっくんのテニスみたい」

「帰れ 」

「嫌だ」

「帰れっつってんの!
練習の邪魔だからっ!!
練習終わったら、」

「え?練習終わったら何?」

「あ・・練習終わったら、」

「終わったら、一緒に「結婚しよう」え。」

「そんな!嬉しい!!」

「ちがっ!
おい誰だ今俺のセリフに被ったやつ!」

「ジローや」

「がっくん待って考えさせてね、まだ私ら中学生!」

「違うからな!
つかおい跡部なに電話してんだ!!」

「あぁ、ミカエルか?
俺だがすぐに式場を用意してくれ」

「跡部まてまてまてやめろ!!」

「なんだかんだ跡部部長も楽しんでるんじゃないですか。
下剋上のやりがいがありますね。」

「アイツはただアホなだけやろ・・」

「岳人!」

「あーもーいい加減にしろよ!!
もう俺にひっついてくんな!!
蒼乃お前さぁ、もうちょっと事情を考えろよ。
昔から俺にくっつくのはいいけど周りに迷惑かけてどうすんだよ。
お前のそーゆう所俺は嫌いなんだよ!」

向日は普段あまり人に説教はしない。
むしろ榊や跡部に説教される側である。
そんなお調子者の向日だが今は違った。
小さい頃から一緒にいた二人だが昔から向日は少し乱暴すぎる蒼乃に頭を抱えていたのだ。
向日から嫌いと言われた蒼乃はさっきまでの勢いとはうってかわり黙りコクって泣きそうな顔になってしまってしまった。
それほど向日に言われたことがショックだったのだろう。
それと同時に部室も静まり返る。
芥川のイビキすら聞こえない。

「あぁ・・えっと・・ごめん、岳人」

「あのさ。
俺さ、ちゃんとお前のこと好きだからな。
他の女子になんか興味ないし。
だからもうこやって学校に無理やり押しかけてくんなよ。
俺がその・・行ってやるから。
蒼乃の学校に。」

「ご、ごめんなさい。」

「なんや甘酸っぱいな・・」

「ふん、行くぞ。
俺らはここじゃ邪魔らしいからな。
樺地、ジローを連れてけ」

「ウス」

「・・俺もさ勝手に氷帝選んでごめんな。
どうしてもここでテニスしたくてさ」

「別にいーよ。
がっくんみたいに跳び跳ねる友達できたから」

「そいつの名前菊丸だろ」

「なんでわかったの?!」

「お前の学校で跳び跳ねるやつってそいつくらいだっつーの!
俺以外のテニス部のやつと仲良くすんな!
しかもよりにもよって菊丸かよ!」

「私もがっくん好きだから他の人好きにならないよ。」

「ならいいけど・・」

「部活いーの?」

「別にいーよ。
お前いるし。
つーかさ、えっと・・まぁ結婚はまだ、早いよな。」

「えっ?えっ!?
私達マジで結婚するの?!」

「いややっぱなんでもない!
お、お前ももっと俺みたいにやりたいこと夢中になること見つけてミソ!!
俺ばっかりに夢中になったら将来困るだろ!」

「がっくんがいれば私の将来は幸せだから!」

「お前な、」

「私と正式に、お付き合いしてください!」

「今は無理」

「えぇ!?」


(めっちゃええカップルやん)

(そうですね。
宍戸さん僕たちも二人みたいな仲になりましょうね。)

(そうだな)

(そーゆう言い方は勘違いされると思うねんけど・・)


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