☆捧げ物&頂き物☆

□君を想う
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今日は、特別な日。
髪の毛はキマってる?
服はダサくない?
あとあと、

「うるさい、お前は少し黙れんのか」

低く響く声。
同じはずなのに少しだけ、上手く説明はできないけれど、違う気がする。
この男は花束なんて持ってて、絵になるのがなんか悔しい。
あいつのラッキーアイテムだ、とか言ってるけど、絶対それ以外に何かあるだなんて事、俺は知ってる。
そんな事考えてる俺の手にも、小さな箱。
頬を緩ませて、らしくない事考えて。

真ちゃんの言う、あいつ。
それは俺らの1コ下の可愛い女の子。
初めて会ったのは部活中。
珍しく真ちゃんが忘れ物をして、それを届けに来たのが彼女だった。
真ちゃんとは幼馴染みだとか何とか。
それからたまにだけど来るようになって、だんだん仲良くなって。
何時からかは分からない。
目が追ってて、目が合った瞬間に息が止まって、顔が熱くなって。
気づいたらもう、こんな感じ。

嗚呼、恋か。
気付くのにそう時間は掛からなかった。
で、特別な日、っつーのも、今日は彼女の誕生日。
彼女の事となると全部が特別に感じる俺はきっと、かの有名な病気。
しかも重症。

「真ちゃん、高尾先輩」

そんなことを考えてるうちに、いつの間にか彼女のもとに辿り着いていたらしい。
今まで何の音も聞こえなかったのに、彼女の声だけ妙に反響する。
なんて都合の良い耳なんだろう。
真ちゃんの手から渡った桃色の花を見て、嬉しそうに笑う。
俺は花には詳しくないから分からないけど、アイツのことだから何か意味があるんだろう。
真ちゃんに続いて小さな箱を差し出す。

開けても良い?

もちろん!

リボンを解いて、真っ白なその箱の中を見た彼女は瞳を輝かせた。

「ネックレスだ……!」

そう、俺があげたのはネックレス。
四つ葉のクローバーがついた、女の子の好きそうな感じの可愛いヤツ。
その銀色が反射して眩しかった。

「二人とも、ありがとう!」

ホント、眩しい。
頭がくらくらする。

好き、はまだ伝えない。困らせるって、分かりきった事だから。
今はこの笑顔で十分。だから、

「誕生日おめでとう」

生まれて来てくれてありがとう。
大好きだよ。

せめて俺の心の中でだけで、なんて、






 
 
 
 
 
 

 

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