☆捧げ物&頂き物☆

□咲き誇れ、銀の桜
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金太郎と銀桜は少し遠めの商店街でたこ焼きを買い、近くのベンチに腰をかけ座って食べていた。
そのベンチの近くにはとても大きい桜の木が一本ある。桜の花びらが何枚も舞っていて春を感じさせられる。

「たこ焼きうまいなー!」

「そうだねー」

いつものようにパクパクとたこ焼きをほおばっている金太郎の口の周りにはソースやらマヨネーズやらかつおぶしやらがついており、中学1年生と思えない可愛さだった。その可愛さは昔から変わっておらずで今も飽きず銀桜はその可愛さにメロメロになっている。

「金ちゃんは可愛いね〜」

「え?ワイカッコいいって言われた方が嬉しいんやけどなぁ。」

「来年になったらカッコよくなるんだよ、今はまだ可愛い金ちゃんでいいよ。」

「ワイな、ずっと前から銀桜といるやん?ずっと可愛い可愛い言われてきとったから、ワイ本当は女の子やないんかとおもったんや。」

「可愛い・・!」

「また可愛いっていう!」

「あ、ゴメン・・」

「ワイな、これからもこれからもずっと銀桜と遊んでたりしたい。
じーちゃんばーちゃんになってもずっとずっと一緒にいたいとおもっとる。
ワイ、銀桜と同じ4月に生まれてよかった!」

「私も嬉しいよ!
すごいよね、同じ4月に生まれたって。」

「ずっとワイといてくれる?」

「いる!いたい!!」

「じゃ、大人になったら結婚しよな!」

「えっ」

「あ、銀桜ワイもう腹いっぱい屋からたこ焼きっ!」

「え・・えと・・え・・!」

底なし胃袋をもつ金太郎がたこ焼きを食べただけで「腹がいっぱい」になるわけはない。プラスチックケースの中にたこ焼きが1つコロンと入っている。これが彼なりの自分に対しての誕生日祝いなのだろうと感じた銀桜はどこからほっこりし、心が暖まった。

「・・いいの?たこ焼きでしょ?」

「ええし!
たこ焼きワイいつでも食える!
もう腹いっぱいやから食べてーな!」

「・・ありがと金ちゃん。」と銀桜がそのたこ焼きを口にいれたと同時に電話がなる
。口に食べ物をいれたまま電話をするのは少し抵抗があったため、金太郎にその電話をでてもらった。
かかってきたのは白石からで「今、準備が終わった。」との連絡だった。

「準備できたって!
いこーや、銀桜!」

「うんっ!」

部室の中に入ると、白石をはじめとした四天宝寺のテニス部員たちが「誕生日おめでとう」と口をそろえて銀桜に言う。
財前だけ少し照れくさそうにしていたがちゃっかりと、銀桜が喜んでくれそうなプレゼントを用意していた。
その中でも銀桜が一番喜んでいたのは小春がくれたプレゼントで、とても可愛らしいものをくれたそうだ。
女の子が喜びそうなプレゼントを選んだらしい。
オサムからはこけしをもらったが、銀桜は苦笑いしかできなかった。

金太郎もプレゼントは買いたかったものの何を買ったらいいのかわからなく、おこづかいもたこ焼きをたくさん買ったせいで残り少なかったものだから財前達のような銀桜が喜べそうなものは用意できなかったと本人の口からいわれ、金太郎は自分のズボンのポケットに手をつっこんだ。

「これしか渡せるものなかったんやけど・・」

と自信なさげにとりだすものだから銀桜は「金ちゃんがくれたものはなんでも嬉しいよ」と一言いうと、金太郎はパッと笑顔になって銀桜にプレゼントたるものを渡した。

渡されたものは、テニスボールと小さな小鬢にはいった何枚かかすかに銀色にキラキラ輝く桜の花びらだった。

「・・この桜のどうしたの?」

「あんな、さっきの桜の木あったやろ?
ワイな、ずっと前母ちゃんとあそこ通った時、何枚かいいの拾って「ラメ」っていうのをつけて作ったんや。
銀桜って銀の桜やろ?
ちょっとおもろいなーって思ってつくったんやけど・・。」

銀色に輝く桜の花びらはまるで宝石のように光っていた。桜なのにどうしてこうも綺麗なのかと思い見つめていた。

「・・どう・・?」

「めちゃくちゃ嬉しい。
これ、お守りにして毎日持ち歩くようにするね。本当にありがとう、金ちゃん。」

「来年は銀色の桜の樹一本プレゼントする!」という金太郎のボケに白石が「それは無理やって」とツッコみ部室に笑いが起きる。
「大人になったら結婚しよう」と言う言葉には少々驚いたもののまんざら、ありえない話ではないと思った銀桜は大人になるのが少し楽しみになった。

 
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